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アサヒ緑健よみうり・麻生飯塚メモリアルオープン 2006
鈴木亨がコースレコードタイの63
最近、ゴルフを始めたという長男・貴之くん(9歳)に向かって心の中でつぶやく。
「そんなふうにして今日は、自分の世界に入ってプレーすることが出来たのが良かった」と、久々の大爆発を喜んだ。
いつも父親の成績を気にかけてくれる優しい息子。
しかしこのところ、寂しい思いばかりをさせている。
女子プロで妻の京子さんは、芸能活動中の長女・愛理ちゃん(12歳)につきっきりの毎日。
父親もまた、全国各地を飛び歩く日々だ。
しかも、今季トップ10入りは三菱ダイヤモンドカップの2位だけ。
現在、賞金ランク60位は今だシード権のボーダー線上にいる。
「お父さんが大好き」と言って、帰りを待ちわびている息子に、良い知らせをしてやれないのが歯がゆい。
そして今週初日も、出遅れた。
2週前のブリヂストンオープンで、デビュー時から慕う中嶋常幸に言われた。
「俺も、今のオマエくらいの時にそうだったんだけど。ちょっとずつスイングを直していてもその場しのぎにしかならない。もっと、大胆に変えていかないとこの先、戦えない」。
その一声でスイング改造に踏み切ったが、いざ試合になると「つい昔に戻ってる」。
今週は反省して「最後までやり遂げよう」といちどは決めたものの、いきなり躓いた。
71位タイスタートに「やっぱり元に戻そうか・・・」との思いがよぎったが、思いなおした。
改めて、教えに忠実にプレーしようと誓って迎えたこの日3日目。
「自分のペースを守ってプレーができた」と、その成果を実感することができたのだ。
今週の会場の麻生飯塚ゴルフ倶楽部は思い出の舞台。
やはり92年の後援競技『ゼンリン福岡オープン』でプロ初優勝を飾り、翌年のいわゆる“裏シード”を獲得したコースでもある。
あれから14年。
「40歳を迎えても、なおこういうスコアを出せたことが嬉しい」と鈴木。
ボギーなしの9バーディは、自己ベスト。
コースレコードの更新にこそ1打足りなかったが、一気に9位タイ浮上に再び闘志が沸いてくる。
今では、ゴルフ界のラ・ボンバといえば今井克宗。
しかし、さまざまな大会で数々のコースレコードを記録。過去7勝には大逆転で手にした優勝もあり、「・・・以前、ボンバーと呼ばれていたのは僕だった」。
“元祖・ボンバー”が連続シード14年のプライドと父の威厳をかけて、さらなる上昇を誓った。