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今週、マスターズ

1934年に、生涯アマを貫いた“球聖”ボビー・ジョーンズが、自身が手がけたオーガスタナショナルゴルフクラブのお披露目をしようと、友人たちを招いて第1回大会を開催したのが始まりだった。

そんな成り立ちと、今もなお貫かれる伝統と大会主旨を踏まえて、片山晋呉はマスターズ・トーナメントをして「主催者が、世界中から気に入った選手を集めて行う大規模な“プライベートコンペ”」と表現したものだがそれは、自身の心に重くのしかかる負担を少しでも軽くしたいからにほかならない。

なぜなら、今でもマスターズ委員会から届く招待状の封を切る際は、緊張で手が震える。
他の多くのトッププレーヤーがそうでもあるように、8度目の出場を果たす片山にとってもかの地に立つことは、特別な意味を持つ。

とても、平常心でいられるわけがない。
だからこそ「毎年、なんとか気軽な気持ちで気負わずに挑みたくて。でも、いざ現地に行くとダメでねえ…」と苦笑した。

昨年大会は、万全の体制で乗り込みながらも無念の予選落ち。
また今年はこの4月からクラブ、ボールのみならず、ウェア、シューズ…と、用具契約をすべて一新。
そうして迎える今季のメジャー第1戦だけに、本人にも並々ならぬ思いがあるはずだ。

年明けはハワイ、1月末には宮崎で合宿。アジアンツアーのメイバンク・マレーシアオープンで今季初戦を迎えたあと、WGC・世界ゴルフ選手権アクセンチュアマッチプレーと、3月には米ツアーのホンダクラシック、WGC・CAチャンピオンシップに出場して、帰国翌日にはその足で再び宮崎に入るというハードなスケジュールで「今までにないくらい、自分を極限まで追い込んだ」という片山。

今メジャーでは、2006年に記録した27位が自己ベスト。過去の自分自身との戦いこそ、賞金王をさらに高みへと押し上げる。

ジャパンゴルフツアーメンバーは片山のほかに、石川遼(=写真中)とインドのジーブ・ミルカ・シン(=同下)と、タイのプラヤド・マークセンらが、マスターズに挑戦。
そのほかの日本勢は、昨年の米ツアーで初優勝をあげた今田竜二が初参戦する。



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