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初日は日本チームがリード!!
この日真っ先にチームに勝ち点を持ち帰ったのが、丸山大輔&横尾要のペアだった。横尾は今回、夫人の出産のため、やむなく欠場を決めた谷口徹の代わりに、土壇場のメンバー入り。
それが発表されたまさにその日に「珍しく、丸山さんから電話をもらって」。
「きっと、要と俺のチームだよ。よろしくね」との丸山の予言が、「ほんとうにそうなるとは」(横尾)。
名前の頭文字が「ま」と「よ」で普段のツアーでもロッカーが近く、「よく話をするし気が合う」(丸山)という2人。キャプテン青木はそんな下調べも完璧だった。
ピッタリとはまった采配は、金度勲・大邱(キムドフン)&金飛烏(キムビオ)との対戦も、3番から3連続バーディを奪うなど、序盤から常に優勢ムード。
フォアサムストロークプレーは、1つのボールを交互に打つ難しいゲーム方式に互いにプレッシャーはあれど、「丸山さんはアイアンが良くて」(横尾)。
「そして要はバーディパットをよく決めてくれた。非常に噛み合った1日でした」(丸山)。
さらに横尾が「丸山さんの人柄の良さもある」と言えば、丸山も手を振り「いやいや、要の人柄のほうが・・・」と、互いに褒めちぎり合う様子にも、相性の良さが伺えた。
18ホール目に、横尾がティショットを深いブッシュに打ち込んで、「ヒヤヒヤさせてしまいましたが、それもほんとに最後だけ」。
チームスコアは2アンダーで楽々と逃げ切った。
片山晋呉&池田勇太ペアも、また然りだった。こちらは、コミュニケーションがバツグンだった。「良いときも、悪いときも声を掛け合い、本当に楽しくプレーさせていただいた」と池田が感謝すれば、片山も「助け合い励まし合う凄く良いコンビ」。
12番でダブルボギーを打ったが、とりわけ明るい声と笑顔で、片山が池田に言った。
「がんばろっ!」。
「あのホールで、逆に吹っ切れた」と、池田。
「アウェイの空気はひしひしと感じるけれど、その中でやれたのはとても良い経験。今日の18ホールは互いに悪いものも、良いものも同じくらい出たけれど、それをカバーしあってやれたのは、明日につながる」と、片山も確信したこの日のオルターネート。
池田も「今日は2人で勝つぞ、という気持ちでやったのが、この結果」と、2アンダーの勝ち点1に、充実の笑みが広がった。
そして、この日最後にチームに勝利をもたらしたのが若き2人の代表ペアだ。先週、プレーオフ4ホールの死闘を繰り広げたばかりの2人が絶妙のコンビネーション。前半の9ホールは、先輩が引っ張った。
2番で石川遼が、7メートルもオーバーさせたパーパット。薗田峻輔がこれを拾った。「ここで流れが作れた」と、口を揃えた。9番でも、微妙なパーパットを薗田がしのいで折り返すと、後半は石川だ。
12番で7メートルのバーディを沈め、16番パー4では石川が残り131ヤードで「完璧なセカンドショット」。ピンそば80センチで李丞鎬(イスンホ)&孫準業(ソンジュンオプ)組を、完全に突き放した。「トラブルも互いに助け合い、チャンスも決めた」と薗田。5アンダーは、4打差の圧勝に「完璧な滑り出し」。
7番でダブルボギーを見届けた石川が叫ぶ。「しょうがないっ!」。薗田も「またすぐに取り返すから」と、顔色ひとつ変えなかった。
「めったに緊張しない先輩はむしろ気楽に行け、と僕の背中を押してくれるので、やりやすかった」と、石川が言えば、杉並学院高時代の2つ先輩は、「経験値では僕が下だけど、遼は昔から一緒にやってる仲間。立場的には上でやれるし、安心してプレーが出来ました」。
トータル勝ち点3に、チームの結束力はさらに増して、続く2日目はフォアボールのストロークプレーに挑む。初日の5マッチをくまなく見て歩いたキャプテン青木は即決した。
「明日も、同じペアで行く」。
力を合わせて勝ち取った初日のリードは心強いが「それが、逆にみんなのプレッシャーにならなければいいと、祈っている」と、メンバーを気遣った。