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今季に賭ける、中島雅生!!
シードの常連組、昨年の初優勝者、初シード組、復帰組・・・。
それぞれの思惑が交錯する中、新シーズンへの意気込みもひとしおなのが、今季初めて出場権を手にしたニューフェイスたちだ。
中島雅生もそのひとりだ。
いわずとしれた中嶋家の長男は、引き継いだ“DNA”に将来を大いに期待されつつ、2002年にプロ転向。
しかし、道のりは厳しかった。
一昨年は出場優先順位を決めるクォリファイングトーナメントのサードステージで失敗。
ショックは大きく、「ゴルフをやめて、別の職に就こう」と、真剣に考えたという。
犬が好きで、「それに関わる仕事ができたらいいな」と、資格取得の資料を取り寄せたりもしたという。
諦めかけた中島を踏みとどまらせたのがほかでもない、父だった。
なかば強引に連れていかれたホームコースの栃木県・東松苑ゴルフ倶楽部でアプローチの徹底練習と、ハードなトレーニングを励行。
ゴルフ界で一時代を築き上げた偉大な父親からの“愛のムチ”。
特に優しい言葉をかけてくれるわけでもなかったが、大きな背中が何よりのお手本だ。
効果は絶大だった。
「父ちゃんのおかげで、もう一度、ゴルフに賭けてみようという気になれた」という。
さらに愛娘の誕生がその思いに拍車をかけた。
昨年1月に生まれたひかりちゃんが、「肩の荷を下ろしてくれた。自分は自分でいいんだな・・・って。そう思えたことが大きかった」と振り返る。
いよいよ心技体揃った成果は、目に見えて出始めた。
ツアーに出番がない分、稼ぎ場を求めた地区競技で次々と上位に食い込むと、昨年7月。主催者推薦を得て出場したチャレンジトーナメント「カニトップ杯チャレンジ」で念願の初優勝をあげたのだ。
その勢いで最終的に同ランク5位に食い込んで、今季前半戦の出場権も手に入れた。
期待と希望を胸に過ごすこのオフも、恩人のかたわらで練習に明け暮れる。
「父ちゃんの背中を見ながら、見よう見まねで」技を磨く。
父恒例の山登りトレーニングにも参加して体を鍛える。
険しい山道は、ときには「手をついて、這いつくばって登らないといけないほど」の急勾配もあり、日々逞しさは増している。
「もちろん、優勝できるに越したことはないですが、まずは初シード入り。それが今年の目標です!」。
開幕を目前に一歩一歩、着実にキャリアを積んでいく構えだ。
写真上=先月のゴルフフェア。今年から中島が用具契約を結んだダンロップ主催のトークショーで一緒にマイクを握ったのは、高校の先輩で今季初シード入りを果たした小田孔明(左)。2人揃って新戦力に加わって、今季ツアーを盛り上げると誓った・・・!!