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つるやオープンゴルフトーナメント 2009

杉原輝雄が52年目のレギュラーツアー

この日のプロアマ戦は、地元ジュニアの徳永圭太くん(右)とのラウンド。巧妙な小技で徳永くんをうならせた。
前立腺癌の、リンパ節への転移を告白したのは昨年の今大会。このオフ、15回を予定していた放射線治療はあまりのつらさに4度で断念してしまった。

不安の中、幕を開ける自身52年目のレギュラーツアーは直前に、親交のあったプロボクサーの小松則幸さんが滝修行中に急死したり、 ゆかりの人が次々と亡くなり、さすがのドンも弱気になった。
「僕もそろそろ引き出しの整理をしとこか、と思ったり…」。
いつもの冗談も、冗談に聞こえない。

この日水曜日のプロアマ戦も、「フルショットが出来ない。ドライバーで、軽く振って200ヤードほど」。
最年長予選通過やエージシュートなど、どこまでも貪欲だったコメントもすっかりなりをひそめ、今季初戦も「明日、18ホールを完走できるかどうか…。同伴の選手にも、迷惑をかけんようにせんといかんしね」。

そんな状況でもなお、杉原を駆り立てるのは何より応援してくれる人たちの声だ。
杉原のプレーを見て、「勇気づけられた」と喜んで帰っていくファンは多い。

また自らが会長をつとめる、青少年のスポーツ育成を目的とした非営利団体「ボクシングゴルフ フィ
ットネス キャピタリスト クラブ」の会員のみなさんが募金を募り、翌週の中日クラウンズの2試合で、杉原がバーディ1個取るたびに20万円の賞金で、激励してくれることになった。

「バーディ取るんも大変な状況やけど、みんなの期待に応えて頑張らんとね」。

初日、2日目は前組に尾崎将司、後ろには青木功。
「うるさいのに挟まれながら、楽しめそうかな」。
戦友の存在も意識しつつ、71歳が精一杯に背筋を伸ばす。

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