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つるやオープン 2010
今季初戦の小泉洋人が好発進
ファイナルQTランク49位の資格で出場する今大会は、自身の今季ツアー初戦。
今までならば、「緊張から力が発揮出来ずに終わることが多かった」。
しかし、今年は違っていた。
練習日から、「出来る」という予感はあった。
それだけに、待ちに待った仕切り直しの第1ラウンドはのっけから、本人の予想を裏切らない猛ダッシュ。
1番で、横1.5メートルを決めると、そこから3連続。勢いに乗り、折り返しの10番までに7つのバーディで、一度はスコアボードのてっぺんに居座った。
「ショットは真っ直ぐ行くのに、パターが曲がる」。それが今までのゴルフだ。「ウィークポイント」克服のために、1年半ほど前から握った46インチの長尺パターがこの日は冴えた。
2番や、5番で決めた13メートルのバーディパット。
本人は「寄せに行ったのが、勝手に入ってくれた」と笑ったが、けっして偶然ではない。
“ご近所”のよしみで教えを乞う鶴田達弥コーチの教えがはまった。
「下がっていた右肩と、左肩の差をなくすように構える」。
会場のここ“山の原”は住まいのある大阪府の吹田市から車で40分。このオフも、20ラウンド前後を回り、「不安もなく挑めたのも大きな要因」。
いつの間にか、大勢の報道陣に囲まれながらのラウンドとなった上がりの16番、18番。
ボギーを打ったが、プレッシャーからではない。
「いいえ、むしろ18番の第2打は、今日一番良いショット」。
一躍注目を浴びた無印男は「気持ち良かったですよ」と、楽しそうに笑った。
今年35歳にして、まだツアーでの獲得賞金が0円なのは、デビューが遅かったから。
18歳でゴルフを始めた。プロを目指し、23歳まで頑張ってみたが、「俺って下手やな」と、一度は断念。有望なジュニアにゴルフ留学を斡旋する会社を立ちあげ、年収は約600万円ほど。
平穏な生活に、一石を投じたのは以前から交流のあった武村雅己プロ。
ある日、レッスンを受けたら「いきなりショットが曲がらなくなった」。
すっかりその気になって、ツアーの出場優先順位を決める2005年のクォリファイングトーナメント(QT)に挑戦したら、「ろくに練習もしていなかったのに、ファイナルまで行ってしまった」。
すぐにプロ転向を決め、会社もたたんでしまった。月、土の週2回は、月3万円のレッスン業でくいつなぎ、出番を待った。
「こうして試合に出られるなんて、幸せです」との言葉に心がこもるのは、そんな紆余曲折があったからこそ。
本格参戦を前に、3社とスポンサー契約を結んだことも、大きい。
特に、21歳で結婚した妻の由紀さんには感謝をしてもし足りない。
自らも会社につとめながら、支えてくれたばかりか、「いつも“あなたがやりたいように、やればいい”と。お金がなくても、文句を言ったこともない。僕が言うのもなんですが、本当にデキた嫁です」。
感謝の気持ちの好発進だ。
競技は54ホールに短縮されて、残るは2日の短期決戦。
「実績もない僕が、こういう立場に立って、どこまでやれるか。結果が良くても悪くても、そういう自分を見られることにワクワクしてる。悔いの無いように全力でやります」。
一度は諦めたゴルフ人生が、いま大きく動きだそうとしている。