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関西オープンゴルフ選手権競技 2010
藤本佳則くんが2年連続のローアマ獲得
いまは亡きアマ界の至宝は妻の克子さんより、その名が刻まれた杯を受け取って、「今年もまた戴けるなんて、ほんとうに光栄です!」。
この日最終日は藤本くんが、3ホールを残していた時点で、2つ前の組でホールアウトした社会人アマの田中政佳さんと、タイスコアは通算2オーバー。
ここからが、藤本くんの真骨頂だった。
爆発力に定評のある20歳は、16番からいずれも2メートルのチャンスにつけて、連続バーディを奪った。
最終18番も、「お客さんがいっぱいいらっしゃるところでボギーは打ちたくない」と、執念のパーセーブ。
初日から繰り広げられてきた激しい“争奪戦”は、結局2打リードで藤本くんに軍配が上がった。
今年は“初タイトル”を手にした昨年大会よりも、「いっそう、成長している実感が自分でもある」という。
昨年まで筋力強化中心のトレーニングを、今年から柔軟性重視に切り替え、もともと飛ばし屋に、ますます磨きがかかった。
この日は、豪打で知られるディネッシュ・チャンドとの同組にも身長165センチの体で再三、前に飛ばしてトッププロさえ呆れさせた。
コースマネジメントも、アイアンの距離感も寸分の狂いもなく、何より、猛暑続きの4日間も「ほとんど疲れはない」と、最後まで笑顔を絶やさずに上がってきた。
今年、6月のミズノオープンよみうりクラシックでツアー初優勝をあげた薗田峻輔や、今週のチャレンジトーナメントでは、まだアマチュアながらプロを押さえて優勝を飾った小平智(こだいらさとし)くんらと同級生。
「みんな頑張っているので、僕も後に続きたい」と来季のQT受験に向けて、ますます気持ちが高まった。
一方、惜しくもタイトルを逃した田中さんは、「今日は最初から(ローアマを)狙っていた」だけに、悔しさは拭えない。
2日目には、コース新の64をマーク。
またこの日はスタートの1番から連続バーディで、一時は藤本くんを突き放して有利に立っていたからなおさらだ。
しかし後半は1ダブルボギーと2ボギーで失速し、まさに若さに押されたかっこうに、先に上がって結果を待っていた田中さんは、「最後は藤本くんが、18番でOBにしてくれないかと、祈りたいような複雑な気分になってしまいました」と冗談交じりに明かし、あと一歩で大魚を逃した無念さをにじませていた。
田中さんは、ローウェストアマチュア賞に輝いた藤本くんに続いてセカンドアマチュア賞を獲得。
サードアマチュア賞は、東北福祉大1年の田村光正くんに贈られました。