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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2011
連覇を狙う、小山内護
「あれぇ、去年はあんなすごいのあったっけ?!」。
豪華副賞は、今年から新たに加わった特典だ。
さぞ連覇への思いが高まったかと思いきや、むしろ小山内のテンションが下がっていく。
「それじゃあ今年はなおさら、俺はないな」。
自分の優勝はないと、本人がそこまで決めつけるのには訳がある。
昨年のこの大会を含めて過去4勝は、どれも優勝副賞が車ではなかったのだそうだ。
「車がつくと、俺は勝てないみたいで」と、すっかり思い込んでいるジンクスも、今回ばかりは根拠もある。
このオフに、スイング改造に踏み切った。
きっかけは、今年5月の日本プロでプロ16年目のツアー初優勝をあげた河井博大(ひろお)だ。
小山内の紹介で今年、河井がジャンボ邸の冬期合宿に参加したときのこと。なんでも河井はデジカメで、いろんな人のスイングを撮影するのが趣味らしく、このときも小山内の写真をパチリ。
液晶画面でチェックして、愕然とした。
「俺のスイングって、こんなにひどいの?!」。
河井が、「いやいや、これが小山内さんの良さ」と説得されても納得出来ない。
「脇があきすぎてない?!」と、不満を訴え続ける小山内に、河井もとうとう折れて「じゃあ、思い切ってやってみましょう」となった。
「トップの位置からアドレスから。すべてが以前と違う」という大改造に、最初はろくにボールにすら当たらない。
急ピッチで調整を続けたものの、開幕にも間に合わず、「5試合くらいしたら」とのひそかな目算も外れた。
今季は8試合のうち、決勝ラウンドに進めたのは1試合だけという結果に、「今年はもう3分の1が終わったけれど、完成度は80%もいかない」と、満足のいく出来にはほど遠い。
今大会は、連覇ボーナス2000万円など、優勝副賞のほかにも美味しい特典が満載だが、「まだ、とても狙える状況じゃないよ」と、歯切れが悪い。
それでも、この日水曜日のプロアマ戦は思い出の18番に立って、よみがえってくるものがあった。
「去年、このホールを誰よりたくさんプレーしたな、と」。
若手2人を向こうに、プレーオフ4ホールを制した昨年覇者は、相性の良いコースで「せめて、良いきっかけが掴めれば」。
今年も、北の大地で上昇気流に乗りたい。