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つるやオープンゴルフトーナメント 2012
ルーキーの川村昌弘が好調
「僕の持ち味はショット。曲げないティショットと、アイアンの距離感でスコアを組み立てます」。
めったにグリーンを外さないという若きショットメーカーは、「それが僕の武器です」と、物怖じせずに胸を張る。
「いや、でも僕のは変なスイングなんですけども。イマドキのように、ビデオでチェックするとかでもなく、ただ振りたいように振っている。感覚派ですね」。平成生まれのプロゴルファーは、無垢な表情の中にも、どこかベテランのような風情が漂う。
先月、福井工業大学付属福井高校を卒業したばかり。高卒のプロ入りも、当初は迷わないではなかった。
「一番悩んでいたのは去年の春ごろ」。
大学に通いながら、という選択肢もあったが、「僕はとにかくゴルフが大好きなんで。大学に入ってしまうと、その気持ちがブレる気がした。QTに落ちても通っても、プロになって厳しい世界でやってみようと思った」との一大決心は、昨年12月の通称ファイナルQT、翌年の出場優先順位を決めるクォリファイングトーナメントで上々のランク19位につけて、いっそう弾みがついた。
父・昌之さんに連れられて、ゴルフを始めたのは5歳のとき。「そのあとすぐに自分から“連れてけ、連れてけ”とうるさく言うようになったようです」と、すぐに虜になった。無邪気に白球を追いかける気持ちは、成長した今も変わらない。
プロになって、うれしかったのも「大好きなゴルフが毎日出来るようになったこと」。ツアーのデビュー戦に備えてこのオフは米オーランドに渡るなど、まさにゴルフ漬けの毎日で、数え切れないほどのラウンド量をこなしてきた。
「先月までで、50ラウンドは超えていると思う」と、実践重視の姿勢が先週も、最終日に65を出すなど開幕から上々のスタートにつながっている。
この日、同組で回った同い年のルーキー浅地洋佑とは普段から連絡を取り合うなど、大の仲良しだがはっきりと目標や、負けん気を出してくる浅地とは正反対の性格。「目標はあえて作らない。ただ自分が出来ることを一生懸命にやって、ツアーでどれくらい出来るかを知りたい」。誰かほかの選手を目標にしたり、ガツガツと競い合うといったタイプではない。
「将来は、世界中のゴルフ場でゴルフがしたい。そういう意味でも、僕はアメリカより欧州ツアーでゴルフがしてみたいです」と、とつとつと語る。
派手さはないが、噛むほどに味が出そうな18歳である。