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2013年こそ30代選手の活躍に期待!!

賞金ランキングのトップ2を40代の自分たちが独占したことについて、賞金王の藤田寛之も、2位の谷口徹も、ベテラン2人が若手の不在を揃って憂いたものだが、もっと突き詰めて残念だったのは、トップ10に30代の日本男児が一人もいなかったことである。

彼ら自身にも、その自覚がある。
「そりゃ寂しいですよ」と嘆いたのは、34歳の谷原秀人だ。2006年には片山晋呉と賞金王争いを演じて「晋呉さんを倒せるのは僕しかいない」と豪語した。以来数年は毎年、賞金王獲りを目標に掲げて開幕戦を迎えるのを常としたものだが、それさえも最近は「言えていない」とは、確かに寂しい限りだ。

ここ数年はけがに悩まされて勝ち星にも恵まれず、ようやく復調傾向の今季も「こんだけ優勝争いをしておいて勝てないというのは・・・」と、つい愚痴もこぼれた。

「来年こそ勝ちたいです」。

復活を期す来季にむけて、自信回復の一助となる初受賞となった。
平均パット賞は、1.7280を記録して1位に、「俺って、意外とパットが上手かったんだな」。

過去には2003年の最優秀新人賞や、バーディ率賞では1位に輝いたことはあったがどちらかというと、自分では「苦手」と思い込んでいた部門での初受賞も「この夏から使わせていただくようになったキャメロンのおかげです」と名器の恩恵を口にしながら、その陰で本人の地道な努力の甲斐もあった。
2人の“名手”を参考にした。

「藤田さんとキョンテを見て勉強した」という。
いずれもパット巧者と一目置かれる2人だが、「藤田さんはバシっと強気で打つタイプ」。対して金庚泰(キムキョンテ)は「常にテンポがゆっくりで打ち急がない。ラインに乗っけていく感じ」と一見、対局にある両者のイメージをどちらも上手に練習に取り入れたことで、本人にも思いがけない受賞につながった。

「今回の受賞を生かして、来年こそ頑張ります」。

その思いは後輩も同じだ。谷原には3つ下の後輩にあたる。名門・東北福祉大出身の岩田寛もまた近頃元気がないと言われる30代の一人である。

31歳の今年は、こちらはほかのどの部門別でも初受賞のサンドセーブ率で1位に輝いた。
このたびの受賞に際して自ら思い当たるのは、2004年のプロ入り直前。
「丸山(茂樹)さんが、いろんな種類のバンカーショットを練習していると聞いて」。見習って、デビューを見据えて岩田も特に時間を割いて、さまざまなライからのバンカー練習を試みたという。

そんな下地があるとの自覚はあったから、今回の初受賞には特に驚きもないが、喜びもなかった。
むしろ「バンカーだけじゃ、ご飯は食べられない」。武器がそれだけでは、稼ぎにはつながらない。
プロ9年目にしていまだ未勝利。また今季は賞金ランキングも59位にとどまって、「今年は最悪の1年でした」と憮然と「勝つためには、まず性格を直さないと」と自分の欠点も、もはや嫌というほど分かっている。

本人も自覚している「すぐにかーっとなる性格」。ひとつのミスに切れて、これまでにも何度、絶好のチャンスをふいにしてきたことか。
「これからは、藤田さんを見習いたいと思います」と岩田も43歳の賞金王の名を挙げて、「来年こそ優勝したい」。
2人の“アラサー”が、来る2013年をしっかりと見据えた。


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