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コカ・コーラ東海クラシック 2012
川村昌弘は「今日はご飯を食べて、寝て・・・」
そうはいっても、まだ19歳。「思うようにいかないときは、出ちゃっているかなと自分では思う。でも回りにはそう見えていないのなら嬉しいです」。
難コースに対抗して、徹底して低い球で攻めている。「ごまかし、ごまかしやってますけど、そろそろ期限切れかも」と、ひそかな懸念もよぎったのは後半の11番。
「ずっと気持ちよく振り切れていない。低い球を打ち続けるのも難しいですし、だんだん詰まってきて。極めつけが出てしまったかな」と、左に曲げた。
ラフからの脱出にも失敗してダブルボギーで一度は沈んだ。
「ついにやってしまったか、とがっかりした」と、一応は落胆したそうだが、表情やしぐさだけを見れば、そうとはまったく分からない。
もちろん、のちのちまで引きずることもない。
「明日もまた打つかもしれませんし、ああ、ダブルボギーだな、という感じで」。すぐに笑顔を取り戻した。
隣県の三重県の出身は、「ジュニア時代に一緒に回ったよ、と声をかけてくれる方など、たくさんの人が応援に来てくださって」。それが逆に緊張になったり、大きな力に変わったり・・・。
「地元がより盛り上がって、嬉しいこともある。その中で思い切りのよいゴルフが出来れば」と、伸び伸びと終盤は2つのバーディで盛り返してきた。
首位とは1打差。決勝ラウンドの組み合わせは、成績の良い選手ほど後ろに組まれるが、タイの場合はスコアカードを先に出した選手ほど、後ろになる。3人タイで並んだ川村は、この日同じ最終組で回った金亨成(キムヒョンソン)よりも先に提出して、自身2度目の最終日最終組にも気負わない。
「今から意気込むことはない。今日はご飯を食べて、ゆっくり寝て、明日はティグラウンドに立てば、自然とそういう気持ちになっていく。今から寝れない、とかもないですね」とは、強がりではない。
「昔から、そうなので。狙って勝てればみんな勝てちゃう。自分が出来ることをやって、あとは神様が決めること」と、悠然としたものだが、若くして特に信仰心が強いということでもなく、「他にも言い方はあると思いますが、自分ではどうにもならないということを、言いたかった」と決戦の日を前に、ルーキーはどこまでも理路整然と思いを語った。