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ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 2013

丸山大輔が4年ぶりのツアー通算3勝目【インタビュー動画】

先週までシード権の保持に奔走していた選手が谷口徹の3連覇を阻止した。42歳が42回大会を制した。大輔は、優しいだけじゃなかった。丸山が地元千葉で、4年ぶりのツアー通算3勝目を飾った。

3日目が中止となり、54ホールの短縮競技は規定により賞金ランキングの加算は75%でも、主催者のご厚意により、選手には全額が支払われるのも今年これまで全然稼げていなかったベテランにはなおさら感謝の気持ちが溢れてくる。

大会前の賞金ランキングは68位。「今年は調子が悪いのが続いて。どうにかシード権をキープ出来ればいい」と、そのくらいの小さな欲しかなかった。だから、谷口徹と朴銀信(パクウンシン)と3人タイスコアで迎えた最終日最終組も、「どうにか谷口さんに、ついて行こう」と胸を借りるつもりで出ていった。

大会史上初の3連覇と最多の4勝目を狙う先輩はほんとうに並々ならぬ闘志で、中止となった前日には「大輔は優しいから。華を持たせてくれると思う」と冗談交じりの牽制にも絶不調を自覚していただけに、応戦する気持ちにもなれなかった。

前半は、谷口のショットが乱れがちでも「谷口さんは、スーパーパーセーブを見せていたので。やはり、さすが」と自分は8番からの3連続バーディで、ついに単独首位に立っても、「最後の最後まで、自分が勝てるとは思わなかった」と丸山は言う。
谷口に「大輔ってこんなにパット、上手かったっけ?」。軽口を叩かれて、苦笑いでやり過ごしながらも「後半は、フェアウェイをとらえて谷口さんにもプレッシャーをかけられたと思う」。

前半は6ホールでドライバーを振っても、もともと不安を抱えていただけに、「後半は刻んで行こう」とバックナインはティショットで17度のユーティリティアイアンを多用したことが吉と出た。
「アイアンも、今日はかなりの点数をあげられる」と再三のチャンスにつけて、自滅していく谷口をジワジワと突き放していった。最後の18番こそ震えながらドライバーを握ったが、それでも左のバンカーから丁寧に刻んで114ヤードの3打目は、ウェッジで3㍍につける鮮やかなバーディ締めで振りちぎった。

終わってみれば3打差の圧勝に、「こんな楽な優勝もあるんやな」と“谷口節”の祝福も、とんでもない。「自分はもう優勝できないのでは。そう思った時期もあったので」と、ほんの少し涙ぐむ。「初優勝よりも、2勝目よりも、今日が一番苦しかった」としみじみと、「ゴルフの難しさや苦しみを知ってからの優勝は、また違って深いものがある」。

今年3月のアジア予選を突破して、せっかく臨んだ初メジャーも打ちのめされただけだった。今年の全英オープンはミュアフィールドの最終ホールで2日目にトリプルボギーを打って、無残に予選落ちを喫して「僕のゴルフ人生は終わった」と、思わず口をついて出た引退宣言。

9月にはANAオープンを挟んで、優勝経験のあるフジサンケイクラシックとパナソニックオープンと、得意を自負していた3戦で立て続けの予選落ちを喫して「二度と予選も通れないかもしれないという恐怖。あれはショックだった」と、次のコカ・コーラ東海クラシックで思いを打ち明けたのは、同じ組で回った野仲茂だ。
「同級生は、昔は敵みたいに思っていた」。しかし長年、同じ舞台でしのぎを削り、「お互い40歳も過ぎれば、同じような悩みを抱えて助け合うというか、仲間みたいな」。まして野仲はここ数年は毎年のように、年の最後までシード権争いの渦中にいる選手である。

「おまえはこんなにつらいのを、ずっとやってきたのかと。ホント、精神的に強いヤツだな」と、感心しきりの丸山に、こともなげに野仲は、「諦めずに頑張っていれば、大輔にもきっといいことがある」。

練習仲間の小林正則が日本オープンを制したのは、その2週後の先週だ。「コバは、それまで僕より下のランキング(当時67位)にいたのに」。昔馴染みの後輩が掴んだビッグタイトルに、野仲の言葉がいっそう真に迫って先週は、出場権さえなくて、自宅でクサっていた選手が、「1打1打真剣に、地道にやっていれば必ずいいことがある」と親友の言葉を糧に改めて前を向いた途端に転がり込んだ4年ぶりのツアー3勝目だ。

地元ファンの大歓声に包まれて「嬉しい」と、いっそう目尻も下がる。
出身の愛知県からここ千葉県の四街道市に引っ越してきたのは小3のとき。中学時代は体操部で習ったストレッチは、今も毎朝15分の日課である。千葉市若葉区の泉高校ゴルフ部のチームメイトはこの日も何人か、ロープの外に顔を見つけた。
「丸山頑張れと、大きな声で応援してもらって。ほんとうに力になった」と、旧友にも感謝しないではいられない。

ここ袖ヶ浦は研修生時代から、数え切れないほどのラウンドを重ねてきた。「ここには打っちゃ行けないとか、隅々まで知っている」。42歳にして制した42回大会は会場の練習場に張り付いて、当時無敵のジャンボ尾崎らスター選手に釘付けで、トーナメント観戦をした高校時代を懐かしく思い出す。
「こんなにも長く大会を続けてくださっていることに、選手を代表してお礼を言わせてください」。思い出が一杯詰まったここ千葉で、自分がこれまで歩いてきた人生と同じだけの歴史を重ねてきた舞台で崖っぷちから救われたことも、丸山にはまた感慨深い。


  • 18番のバーディ締め
  • 大輔は、優しくなかった?! 自滅していく谷口を、じわりと突き放した
  • 42歳にして42回大会を制して、「選手を代表してお礼を言わせてください!」
  • この優勝で、WGCのブリヂストン招待の出場権も獲得だ!

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