勝利の美酒も一気に冷めた。先週の日本オープンは、月曜日に順延となり、波乱の78回大会を制して、その夜は最高の気分で、祝いの酒もことのほか美味かった。

明けて火曜日は、祝いの電報に、花束の山に埋もれて幸せ気分も、吹っ飛んだ。事件が起きたのは夕方４時ごろ。宅急便を引き取りに出ようとして、敷居に左足親指をしたたかにぶつけた。

その瞬間に「サクっと切れた」。怖くてじっくりと見ていないが傷口は、親指の爪ほどの肉が今にもちぎれそうになっていた。足先を血だらけにした夫に、花嫁も蒼白に･･･。
先週は、ゴルファー日本一のタイトルで、新婚の妻に報いたが「あれで運を使い果たしちゃった」とぽつりと、傷口は縫合はせずに治すことになったが、全治は１週間。グルグル巻きの包帯が痛々しく、今週のエントリーは、土壇場で取り下げるしかなかった。

せっかく勝った翌週のブリヂストンオープンは地元千葉県の大会なだけに、なおさら自分が許せない。
「酔っていてケガをしたのならまだしも、しらふでやっちゃったから･･･。余計にショック」。親戚、家族も今週は、総出で応援に来てくれることになっていただけに、申し訳なさが募る。
「ほんとうに申し訳ありません･･･」。１８６㌢の長身が、今週は失意のためにがっくりと折れ曲がった。

• 小林 正則