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東建ホームメイトカップ 2015
桑原克典が三文の徳で8位タイ浮上
「朝早いのが、大好きなんです」とは、まさにものは言い様だが正確に言うと、「朝、早く起きちゃうんですよ」。決まって早朝5時ごろに目が覚める46歳。
「予選の午後スタートだと、僕らの世代は時間配分が大変で」とは、おじさんの切実な悩み?!
「だから朝のトップスタートは、大歓迎なんです」と、前半こそ2番で右の池ポチャには青ざめたが、それも24ヤードのアプローチをチップインパーで、命拾いをした。
3番でも右のバンカーから1パットパーと、要所でしのいで迎えた9番で、いよいよ「流れが変わった」。
4メートルのバーディから、人が変わった。
11番は、本人もびっくり仰天。20メートルもの長いバーディパットが「結構な勢いで、真ん中からガボン、と入った」と、次の12番でも東建多度は、美しいお花畑の「花壇に入った。珍プレー」と、自ら笑い飛ばして、伸び伸びとスコアをのばした。
ツアー通算2勝の実力も、2010年にシード権を失ったまま。ここ数年は、出場優先順位をかけたQTの常連で、それでも毎年、若手に混じって地道に挑戦を続ける日々である。
ひとつ上の谷口徹も、同い年の藤田寛之も、学生時代はスター街道を歩んだ桑原に競べて、地味だった。「でも、こつこつとやってきた2人がいま、こんなにも長く活躍を続けている」。
師匠の鈴木豊氏にも言われた。「今の3倍の球を打て」。球数で言うなら1日600球。「ショートゲームなら5時間」。始めて10日目に、ツアー外競技で優勝を飾ったことで、改めて実感した。「練習は、裏切らない」。若いころには目もくれなかった同級生にも、頭が下がった。「今も変わらぬ藤田のものすごい練習量」。強さの秘訣が少しわかった。「悪い時でも、練習さえしていれば、勝手に体が動いてくれる」。身をもって体験したことで、自然とわいた尊敬の念。
先週、行われたツアー外競技の「岐阜オープン」では谷口と、最終日最終組で回って「どんなときも、いつもと変わらず淡々とやる。その難しさと大切さを思い知った」という。
歯に衣着せぬ物言いや、派手なガッツポーズばかりが取りざたされるが、「それも、自分の気持ちを盛り上げるための演出であり、谷口さんは実は常に冷静な人」と、V争いの心構えも目に焼き付けてきた。
この開幕戦の直前には、岐阜オープンも含めて5つの地区競技で、試合感も養ってきた。
5打差から首位を追いかける最終日。大逆転Vなら、16年と7ヶ月ぶりのツアー通算3勝目は、長谷川勝治氏が持つ、13年2ヶ月21日の最多ブランク優勝を塗り替える新記録の達成も「明日も、よそゆきにならずに、ベテランらしく、いつも通りに淡々とやる」。開催コースの隣県の名古屋市出身のご当地プロが、久しぶりに地元で存在感をアピールする。