こう見えて、本調子ではない。「今週は、ずっと腰が重くて」。その影響が強く出て、午後から肌寒く、風が強く吹いたこの日は、ショットが曲がった。
しかしその分、長いパットを決めてきた。

「３番は15メートルと、18番は10メートルが入った。あともう一つ･･･長いのが入ったけれど、どのホールだったか忘れちゃった」と、ニコニコと「今日は長いパットが入ってくれて助かった」。
単独首位は、２位と２打差と頭ひとつ抜け出した。

もっとも、腰の症状うんぬんは関係なしに、「ホールアウト後の練習は好きじゃない」。ほかの選手の練習風景を見てもよく思う。「終わって練習しても、明日になれば変わっちゃうのに」。それならば、いっそ練習しないほうが気持ちよく翌朝を迎えられるという考えだ。

そんな選手がいま、気に入っている日本語のフレーズが「ちゃちゃっと」。まず最初に孔明が金亨成（キムヒョンソン）に教え、亨成（ヒョンソン）が、パクに教えた。
一見、いい加減にプレーするみたいに誤解されてしまいそうだが、そういう意味ではなくて、「僕は考えすぎるのが嫌なので」。ただでさえ、考えることが多いスポーツは、煮詰まらないためにも、声に出して笑顔で言う。「明日もちゃちゃっと回ってきます！」。そして最終日はちゃちゃっと勝つ？！
「はい、そうです、ちゃちゃっとね」。

韓国出身の30歳がしれっと、2011年の日本ゴルフツアー選手権に続くツアー通算２勝目を狙っていく。

• 小田 孔明
• 金 亨成