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〜全英への道〜ミズノオープン at ザ・ロイヤル ゴルフクラブ 2018
秋吉翔太が初優勝と、週に2枚の初メジャー切符
小田孔明が後続のプレーをテレビを見ながら、関心しきり。「お前よく、16番でバーディ獲れたな」。
興奮しきりで答えた。
「今日一番のバーディでした!!」。
ピン705ヤードのパー5。9番アイアンを握った171ヤードの3打目が、勝負の分かれ目。ピンは幅5ヤードもない、マウンドのてっぺんにそびえ立つ。直接狙うなど、危険きわまりない。
「手前10ヤードに打とう」と高橋淳也キャディと入念に打ち合わせたはずだった。
しかし「なぜかイメージより10ヤードも飛んだ。ひとつ違えばおっきなミス」。
ひやりとした。
「なんであそこに止まってくれたか」。
本人も驚きのピン右横バーディチャンスについた。2.5メートルを逃さず通算1アンダーで来た18番では、気づけば首位に。
ひとつ前の小林が、最後のダブルボギーでイーブンパーに後退していた。
状況が分かると「急に足元がふわふわしてきた」。
緊張しても、15メートル強のバーディットは確実にカップに寄せた。
タップインのパーセーブで、あとは最終組のプレーを待つばかりの身で上がってきた。
2016年のトータルトライビングで1位。飛んで曲がらない。「ショット力には自信がある」。
3日目の設定は、とうとう8000ヤードを超えたが持ち球のフェードボールで、怪物コースを組み伏せた。
強い風には、大先輩から盗んだ技で対抗した。
近ごろ勢力著しい地元九州勢をとりまとめる歴代の賞金王だ。
「僕も“チーム孔明”の一員です」。
2年前から秋吉も、小田主催の宮崎合宿に加わり「孔明さんのパンチショットは勉強になる」。
練習場では抑えられても試合では、「ついライン出しして、打ってしまう」。ピンを狙い撃ちする闘争心は恩人譲りだ。
昨年は、初シードの要とした課題のパットはやはり九州のベテラン、山本己沙雄プロに教わり「がらっと変わった」。
うねりのあるグリーンも手なずけただ一人のアンダーパーで、怪物コースをねじ伏せた。
ホールアウトしてから約30分後。待ちに待った瞬間はやってきた。最後のヘンドリーのボギーでついに初Vは転がり込んだ。
各所に散らばっていた仲間が再び集まり、準備もいつの間にか整っていた。
「みんな悪そうな顔してた」。
秋吉にめがけていっせいに、ペットボトルのキャップを外した孔明らだ。
「自分から飛び込んで、洗礼を受けてやろう」と潔く、水シャワーに頭から突っ込んだら嬉しさも倍増だ。
今週月曜日には、1日36ホールの全米オープン最終予選でトップ通過を果たしたばかり。
「疲れはあります。でもトレーナーにマッサージをしてもらっているから大丈夫」。
いっぺんに、週に2枚のメジャー切符は若さと忍耐を惜しまず乗り切ったご褒美だ。
2枚目も最上位で出場権を獲得した。全英オープンの今年の会場は、リンクスコースの中でも屈指の難しさと言われる。
「でもこちらのコースはカーヌスティよりまだ605ヤードも長い」とは、今週水曜日のプロアマ戦で、ここザ・ロイヤルゴルフクラブを視察したR&Aのクライブ・ブラウン氏だ。
「全英オープンの予選会としてふさわしい、このコースで出場権を獲得した選手のみなさんは7月に、スコットランドで待ち受ける挑戦にも十分な心構えが出来たはず」とのブラウン氏の確信に、秋吉も異論はない。
「初の海外メジャーを1週間で、2つも行けることになるとは自分でもびっくり。でもこの大会で、8000ヤードを経験して優勝できたことで、全英でも戦えるのではないか」と怪物コースで自信という収穫も得た。
「全英でもロングアイアンのショット力で戦いたい。腐らず1打1打、チャンスについたところを決めて、ダメでもパーで粘ってチャンスを作っていきたいです」。
リンクスコースでは、現在世界ランク9位の“怪物”にも勝負を挑む。
「そりゃ、松山にも勝ちたい」。
秋吉の2つ下の奥様が偶然にも、松山英樹と中・高の同級生というご縁で親交はあるが自分は連絡先は知らない。
「嫁が知っているので。連絡しとってよと言ったのに、まだしてない。早くしてもらおう」。
まず練習ラウンドでお手合わせ願うにも、ツアー1勝を土産に再会できるのは何よりだ。