記事
2999円差の男。秋吉翔太は今季、逆ドンデン返しで魅せる・・・!!
今年のチャレンジの星は、森本雄(もりもとゆう)だが、昨季のチャンレジトーナメントの賞金1位について語るときに欠かせないのが、その次点の選手の存在である。
秋吉翔太(あきよししょうた)。森本と同い年の25歳である。昨季、いよいよ最終戦「JGTO Novil FINAL」を残すばかりとなった頃のチャレンジトーナメントで、実は“賞金王”に王手をかけたかと言われていたのがこの秋吉なのである。
同大会が開幕する直前に、賞金1位につけていた秋吉と、森本との差は約4万円。僅差の戦いでもまた大接戦が繰り広げられたのだが秋吉は、森本の順位に2打及ばず、わずか2999円差の逆転を許して、王座を譲ったのであった。
賞金差はちょっとだけでも、同トーナメントの賞金1位と、2位では翌年に置かれる地位には大きな隔たりが出来る。“賞金王”にはレギュラーツアーに1年間を通じて出場できる“シーズンチケット”が贈られるが、同2位に与えられる出場権は、ひとまず前半戦のみ。その年、最初に出場優先順位のみなおし(リランキング)が行われる頃までをめどに、そこから先は、新たに自力で確保していくしかないのである。
小学時代は野球少年。ゴルフは10歳から、父親の影響でクラブを握り、2005年の九州ジュニアで3位、日本ジュニアで9位に入り、08年に九州高校選手権、大分国体で優勝を飾ると地元鹿児島県の樟南高校の卒業を間近に控えた09年に、プロ宣言。
ジュニア時代には、1学年下の石川遼や、松山英樹ともしのぎを削った。
「そろそろ僕も・・・」ともちろん、昨季は土壇場のドンデン返しをおみまいされた森本をも含めて同年代のライバルたちに負けじと本腰を入れたい2016年である。
今季のシーズン初戦は、「レオパレス21ミャンマーオープン」。その前週の「SMBCシンガポールオープン」も、出場権はあった。序盤からフルエンジンをかけていきたい立場としては、1試合でも惜しいところだが、どのガイドブックもシンガポールの物価高について言及しており、秋吉の自宅に送られてきた大会の実施要項に記された大会指定ホテルのお値段を見ても、まだシード権も持たない選手はその点を、嫌でも考慮に入れざるをえなかった。
「あまりの値段にびびってしまった」と経費削減のために、やむなく初戦はスキップ。海外試合の経験も乏しい上に、「英語も苦手で」と頭を掻く秋吉には、政権交代が決まったばかりのミャンマーでもまた珍道中の連続に、予選落ちというトホホなオマケもついたが、「これも良い経験」。さあ、これからが春本番だ。
「今年は初シードを目指して頑張ります!」。ちょっぴりぽっちゃりお腹に、愛嬌たっぷりのまん丸笑顔は、見るものをほのぼのとさせる、新・癒やし系。2999円差の男、秋吉翔太に要注目!
今季はぜひ逆大ドンデン返しで、人生をひっくり返してみせて欲しい。