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マンシングウェアオープンKSBカッフ゜ 2004

三橋達也がいま、もっとも初優勝を知らせたい相手は・・・

母・香代子さんとのぞんだ優勝インタビュー。この日最終日、18ホールつい て歩いた香代子さんは、「ダブルボギーのときはさすがにもうだめかと・・・。最後 まではらはらさせられましたが、ほんとうによくやってくれました」と、目頭を押さ えた。
「この世に2人とない大親友」の小島礼志さんを失ったショックで、直後はしばらく まともなゴルフができなかった。
ラウンド中も、ふと思い出して涙ぐむ。「礼志の分まで」と気負いすぎて、空回りし た。
その年2000年は、ファイナルQTランク31位の資格で本格参戦を果たし、春先のフィラ ンスロピーでプレーオフの末2位に入り、初シード入り当確といわれながらも、以 後、親友を失ったショックで予選落ちが続き、あと一歩のところでチャンスを逃し た。2002年には、ツアーの出場権さえ失った。
傷が癒えたのは、ごく最近になってからだ。
ようやく穏やかな気持ちで生前の笑顔を思い出せるようになったいま、5年前に交わ した大親友との約束を、やっと果たせるような気がしていた。
「そのことで、自分にプレッシャーを与えないよう、今日はなるべく忘れるようにし ていた」とはいえ、常日頃から、小島さんのことを思い出さない日はなかった。
優勝争いのさなかも、常にそばに感じながらのプレー。いまこそ、思いをかなえると きだ。
ダブルボギーのあと、改めて「結果を恐れても、結果はついてこない」と、言い聞か せた。度重なるピンチも恐れず、「三橋スマイル」で乗り越えて、たどりついた最終 18番パー5。2位との差はたった1つ。
それでも、最後のティショットは「とにかく、フェアウェーに行きさえすればいい」 と覚悟を決めて、落ち着き払って打つことができた。ピンまで残り272ヤードの第2打 は、3アイアンを思い切り振り切って、2オン成功。2パットのバーディフィニッシュ で、片山ら2位と2打差をつける通算18アンダーでつかみとった初勝利。
スタートホールで健闘を誓い合い握手を交わしたハウスキャディの楠森香子さんと、 最終ホールで再び交わした勝利の握手。ウィニングボールは、この日18ホールついて 声援を送り続けてくれた母・香代子さんにあげた。
「姿が見えることで、達也を緊張させてはいけない」と、この日最終日はひっそり と、物陰からプレーを見守ってくれた父・久志さん。
開催地の岡山からほど近い、地元・広島からかけつけてくれた、たくさんの知人、友 人。
生きている人たちとは、いまここで喜びを分かち合えるが、三橋がいまもっとも優勝 を知らせたい相手は、そこにはいなかった。
「・・・落ち着いたら、会いに行ってきますよ」。転戦が一区切りついたら真っ先 に、小島さんの墓前に優勝報告をするつもりだ。

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