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日本オープンゴルフ選手権競技 2019
市原弘大が謙虚にアンダーパー
ホールアウトした選手の中でもアンダーパーを記録したのは、韓国の金成玹(キムソンヒョン)と、プロ19年目の37歳だけ。
市原弘大が、悪天候の難コースで粘った。
雨でスピードを緩めたグリーンは、それでもやっぱりラフからなら、止めるのは至難の業と思うが、水分を含んだラフはその分、重くて「刻みすぎても距離が残って難しくなる。刻んで、曲げてもショックなので。ティショットでドライバーを使って、少しでも前へ」。
パー3以外のほとんどのホールで1Wを握り、「それで曲げたらレイアップ」という潔い策がこの日はハマった。
度重なる中断と再開を繰り返す波乱の展開も、埼玉平成高校卒業後にすぐに挑戦したアジアンツアーで、慣れている。
「中断中は濡れたものを乾かしたり、軽く食べたり」。
もぐもぐタイムでパワーをチャージ。
「再開後の2ホール共に、バーディが獲れた」と、前半インの12番でOKバーディ。
2度目の中断後、再開してすぐのアウトの6番では1メートルのチャンスを決めた。
4バーディ3ボギーの70で、暫定11位まで上がってきた。
玄界灘に面した古賀海浜の穏やかな砂丘に広がる、会場の古賀ゴルフ・クラブは原風景を残したレイアウトが市原にはまた、慣れ親しんだアジアンツアーの雰囲気と、どことなく似通って思われ、「ワンショット、ワンショット考えさせられる。こういうコースは僕は好き。普段ならちょっとボヤけてしまうところも、ここでは攻略しないといけない。狙いがはっきりしている。やってて面白い。そういう現状も、スコアに生きているのかな」。
培ってきた経験を駆使して戦線に浮上してきた。
昨年の「日本ゴルフツアー選手権」で悲願の初優勝を5年シードのメジャー戦で飾り、タイトルの重みを味わったが「それで自分の中の何かが大きく変わったというわけではなく、前と同じようにプレーができている」。
いつも笑顔を絶やさず、穏やかな性格は、”アウェイ”のアジアンツアーでも好かれて、ついたあだ名が「スマイリーフェイス」。
昨季は、さっそく2勝目を飾った11月のダンロップフェニックスで、再びビッグタイトルをつかんだが、いつもニコニコ謙虚なところは、いくつ勝とうが変わらない。
難条件に耐えて、2つ目の日本タイトルを狙える位置にこぎつけたが「それを考えながらできる僕ではないので。コースの雰囲気を楽しみながら、残り2日も戦えたら」。難コースと真摯に向き合う。