記事
笑顔を取り戻した飛ばし屋、復活のチャン・キム。次なる目標
今季の賞金ランクは4位で、先週の男女シニアの対抗戦「日立3ツアーズ選手権」で初の代表入りを果たしたチャン・キム。
豪打を披露し、老いも若きも驚かせた。
マネージャーの金魚潤一郎さんによると、こう見えて意外と繊細という。
「けっこう、考え込むたちで」と、金魚さんもそのあたりのマネジメントに配慮するそうだが先週は、今年のトップ6人に混ざって普段のトーナメントでは、あまり見せないお茶目な素顔がのぞいた。
プレー後に、男女シニアが入り乱れたにぎやかな表彰式で「イシカワサン、イシカワサン! ドコ〜〜〜?!」などと明るい声でキャプテンの石川遼を探して、おそろいの緑のベンチコートにサインをおねだり。
女子とシニアチームにも求めて歩き、背中をスター選手の名前で一杯にして、嬉しそうだった。
「自分でまったく期待していなかったのに、今年は本当に素晴らしい1年になりました」。
深刻な腰痛で、歩くこともままならなかったのは、一昨年の今ごろ。
今平周吾とノリスとの賞金レースも途中離脱。そのまま丸1年を、棒に振った。
選手生命の危機すら耐え忍び、みごとに帰還したのが今年。復帰元年は、今年1年リハビリのつもりで臨んだ。
「それが、自分でもなぜこんないいプレーができたのか。丸1年も休んで、いいショットなんかできるはずない、そう思っていたのに…」。
蓋をあければ再三のV争いでトップ10は6回。
10月、5年シードの日本オープンではついに2年ぶりの復活V4を飾ると、188センチの長身を折り曲げ涙をこぼした。
キムが中でもとりわけ嬉しかったのは、ファンのみなさんが自分を忘れずにいてくれたことだった。
「1年も留守にした僕のことなんか、とっくに忘れていると思っていて…。覚えていてくださったことには本当に驚きました。たくさん応援してくださって、心から感謝しています」。
賞金王は今年も今平に譲ったが、部門別では代名詞である飛距離(平均315.83ヤード)と、イーグル率共に2年ぶり3度目の1位で2冠に。
「まったくもってこの結果は自分でも驚きですが、来年はぜひ、マネーキングで1位を狙いたいと思います」。
明るい笑顔を取り戻した繊細な飛ばし屋が、シーズン最後に完全復活を印象づけた。