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プロたちのおうち時間「いま何してる?」 <市原弘大の巻>
背後のネットは鳥かごの打席場。ゴルフを始めた3歳時から、練習に打ち込んできた”我が城”。
「ここならジムに出かけていく必要もなく、安全に体を鍛えることができます」。
外出制限の不便な生活も、むしろ前向きに歓迎する。
「読みかけたままの本がたくさんあるし、もっと英語やパソコンも覚えたい。家でやりたいことは、ありあまりほどあります」。
愛読書は伝記物、経営学、メンタル系と多岐にわたるが「今、読んでいるのは、サッカー漫画の『ジャイアントキリング』です」。
合間に近所のスーパーへ。食材を買い込んで、おうちごはんをせっせと作る。
「こないだ作ったのは角煮もどきの豚煮みたいな?」。副菜に野菜炒めを添えたり、なんでも器用にこなす。
「料理も嫌いではないので。自粛生活に、それほど不自由は感じてませんが、試合がない春こそ、ギャラリーのみなさんの前でプレーできる喜びに、勝るものはないと痛感しています」。
埼玉平成高校を出てすぐの01年にプロ転向して単身、アジアンツアーを転戦。パットのアドレス時に手が動かなくなるイップスや、腰椎のヘルニアを患うなど紆余曲折を経て、18年の「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」でついに、プロ18年目のツアー初優勝を飾った。
同年のダンロップフェニックスですぐ2勝目を飾ったが、昨年は未勝利に終わった。今年こそ3勝目で、返上を目指したいところだ。
収束の気配が見えない今は「まだ、試合云々を言える時期ではないですが」と、慎重に言葉を選びながら「早くこの状態が落ち着いて、再びみなさんの前でプレーできるようになったときこそ新たな優勝を重ねていけるように。今できるトレーニングや練習に取り組みながら過ごしています」。
穏やかで、誠実な人柄から、長く転戦したアジアンツアーでついたあだ名は”スマイリー・フェイス”。
「みなさん、どうかご無事で。またゴルフ場で、お元気で会えますように…」。ツアー開始後に選手みんなで取り組める貢献活動などにも頭を巡らしながら自宅の屋上で、黙々と体を動かす。