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川村昌弘が5カ月ぶりに帰国の途「出し巻き食べたい」

帽子をとると、けっこうな長さです
伸び放題の長髪が、今年の苦闘を物語る。日本ツアー1勝の川村昌弘が、怒涛の1年をドバイで戦い終えた。

12月10日ー13日の「DPワールド ツアー選手権(ジュメイラ・ゴルフエステーツ、UAE)」は、ポイントランキングの上位者など65人のみに出場が許された、欧州ツアーの2020最終戦。

初出場を果たした川村は、通算1アンダーの36位タイから出た最終日に、全長7676ヤードのタフなコースでボギーなしの「67」を記録。
通算6アンダーの14位タイで今年最後の試合を締めくくった。

「最初はやっぱり、不安でしたが無事に終えられてよかった」と、安堵した。

コロナ禍で、いったん白紙になった欧州ツアーのスケジュールが再開されたのは、7月。
「イギリスで6試合くらいやる、と聞いて」。
感染のリスクを心配した両親には猛反対されたが、「せっかく試合があるのだから」と、7月22日の「ブリティッシュマスターズ」から再合流して、12月まであれよと17試合。

「一度、全部の試合が中止になったのに、やるとなったら、そこからどんどん試合が増えていったんです」と、川村も予定外の長逗留でキャリアを伸ばして、11月の「キプロスショーダウン」での2位など、トップ10入りが3回。
ポイントランキングは38位につけた。
コロナ禍の欧州連戦を、逞しく戦い抜いた。

7月の合流時に欧州ツアーから渡された感染防止マニュアルは、50ページにも及んだ。
出場の際には毎月曜日のPCR検査の受診が条件で、期間中の行動も厳しく制限。ホテルとコースの往復のみで、外部との接触も許されず、外食も買出しも禁止。
違反者は即、出場停止が宣告される。

「5か月間、髪も切れず、こんなに伸ばしたのは初めてです。直毛が目にかかるし、うっとおしいし…」。
マネージャー兼キャディの横山隆之さんとの2人旅は、コースマネジメントも体調管理もすべて完全「セルフケア」。
悲願の優勝には一歩、届かなかったが、「そんな中でも優勝争いも2度ほどできて、凄くいい経験。自分でも、成長を感じられる」と、すっかりワイルドに変身して、5か月ぶりに帰国の途に就く。

「帰っても、すぐに髪は切りにいけませんけれど」。
帰国後2週間の隔離を、三重県の実家で過ごせるのは幸いだ。
「美味しいものが食べたい。出し巻きが、食べたいですね」。
ただでさえ過酷な欧州転戦に、コロナ禍も加わり体重は出発前から8キロ減。
お母さんの手料理が、飢えた胃袋に沁みそうだ。

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