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日本オープンゴルフ選手権競技 2021
日本一曲げない男が日本一の試合で、日本一曲げない偉業達成へ
自身のVシーンが映った2枚の看板裏からしれっと、現れた18年、20年覇者。
稲森佑貴が、意気込む。
「このポーズを、これからどれだけ並べられるか。目標は、今年もまたこのパネルを増やすこと」。
稲森の連覇がかかる。
今年会場の琵琶湖は6986ヤード。
距離はそんなに長くない。
難条件が通例のナショナルオープンも「今年はアンダーパーの争いになるというイメージはある。ビッグスコアが出てきそう」と、読む。
それでも、ピンの根元が見えない打ち上げのグリーン周りの逆目のラフや、バンカーやハザードに転がり込むよう仕組まれた刈り込みなど、主催のJGAが巧妙に仕掛けた罠はやっぱりそこかしこに見える。
6年連続フェアウェイキープ1位を誇る。
稲森は、「どんなコースであってもティショットはフェアウェイキープ。下手にラフに外さない。極力、ラフに入れたくない。どのコースもそうだと思うが、フェアウェイのほうがピンに向かって攻めやすい」と、そこはやっぱり曲げないつもり。
初日と2日目のラウンドは「一人が世界アマトップの子と、もう一人はオリンピアンの子」。
21歳の中島啓太さんと、25歳の星野陸也に挟まれ「3人の中で、自分が一番年上というのはなかなかない組み合わせ」。
26歳の最年長ラウンドは、飛ばし屋2人との戦いでもある。
「僕はほとんどセカンドオナーと思うけど。遠くからでも頑張って、プレッシャーをかけるショットを毎ホールできればいい」と、そこもやっぱり曲げないショットを駆使して挑む。
ツアー通算2勝のいずれも「日本オープン」。
「そこしか興味がないの?」などと、周囲によくからかわれる。
「もちろん、どの試合でも優勝を目指して頑張っています」と、一応は言い返すが「1勝したときに、また日本オープンで勝ちたい思いが出た」というのもまた、確かだ。
「ナショナルオープンというのも込めて、僕の中では格式はあるイメージ。勝てば自分への自信もそうですし、全英オープンにもつながる。世界への門を開くという意味でもまた勝ちたい」と、大会史上6人目(8例目)の連覇による大会3勝目&通算3勝目にもまたまっすぐ挑む。
18年大会のツアー初優勝時は、虎さんこと韓国の崔虎星(チェ・ホソン)のブレイクまっただ中だった。
虎さんのキメポーズを真似してVシーンに取り入れたつもりだったが、微妙に似てない上に、ほとんど無意識にガッツポーズを握った昨年大会時と見比べたらほぼ同じ。
「実は、自然とあのポーズが出ちゃうのかな?」と苦笑いで首をかしげて「なんなら、同じポーズでどれだけ何回できるか」と、まだ誰の顔もプリントされていない今年の宣伝看板の横に立ち、しれっと優勝杯を持つまねをしてみせた。