「外したのはゼロです」と、一度もショットを曲げずに、3アンダーの「67」で回った。
「練習ラウンドでは3オーバーでもよし、としようと。こんなスコアで回れる予定じゃなかったので。いやもう上出来すぎて」と、撫でおろす。
同組の今平周吾(いまひら・しゅうご)が徹底して刻む隣で、10番ホール以外はほぼ“全ドラ”。
「フェアウェイにいないとなんもできない」と、ティショットに気を張り、3番(524ヤード)や15番(514ヤード)など、「長いミドル(パー4)はいい意味ではなから捨てた」と、最初から“ボギー狙い”。
「距離が残るので、ラフtoラフだと“素ダボ”になっちゃう。自分の中ではセカンドからフェアウェイキープができるような感じで"乗せる”ではなく”運ぶ”。パー5のつもりで回った」と、グリーン手前にきっちり刻んで“パーセーブ”を成功させた(実際はいずれもボギー)。
「伸ばし合いよりも我慢するほうが好き」と、2勝目も2020年の「日本オープン」で飾ったが、「過去2回よりもめちゃくちゃ難しい」と、さすがの曲げない男もため息がこぼれる。
難セッティングを見越して、連覇を狙った先週の「ACNチャンピオンシップゴルフ」を29位で戦い終えるとすぐ移動。
月曜からコースに来て、火曜日のプロアマ戦も活用しながら、前日水曜までみっちり下見を重ねた。
「ラフは行ったら出すだけだからもういい。それより、いかにフェアウェイを広く使えるか」と、神経をとがらせ「スプーンでもクリークでもなんでもいいからグリーン周りまで持っていければ」と、ギリギリまで攻略に明け暮れ、さっそく真骨頂を示した日本一曲げない男。
「はい、明日もフェアウェイキープを目指して」。
2022年の「中日クラウンズ」で通算3勝目を飾るまで、「日本オープンしか勝てない男」とからかわれた時期もあるが、新たに大会3勝目なら、尾崎将司や中嶋常幸らに並ぶ史上6人目の偉業だ。
⛳日本オープン3勝以上選手
・宮本留吉 6勝(1929年、30年、32年、35年、36年、40年)
・尾崎将司 5勝(1974年、88年、89年、92年、94年)
・中嶋常幸 4勝(1985年、86年、90年、91年)
・中村寅吉 3勝(1952年、56年、58年)
・小野光一 3勝(1951年、53年、55年)