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フジサンケイクラシック 2021
ライバルはミュージックティーチャー。「有名になりたい」古川雄大の出世欲
プロ3年目の古川雄大(ふるかわ・ゆうき)が、5バーディ2ボギーの68。
大雨の初日を、3アンダーでまとめた。
「めちゃくちゃ難しい富士桜をアンダーパーでクリアできて、めちゃくちゃ嬉しい」と、丹精な頬を緩めた。
インスタートの10番で、さっそく1、2打目とも完璧なショット。「2メートルのバーディからスタートして、流れを切らすことなくラウンドできた」。
正午前にあがる寸前に、いちど濃霧による視界不良のためプレーが止まった。
「ピン位置がめちゃくちゃ難しくて、アゲンストの9番ホールを残して中断になった」と、最後の嫌なムードも再び戻った最終ホールを、パーでしのいで好発進した。
コロナ禍の再開初戦に踏み切った昨年の今大会が、プロデビュー戦。
「去年はただ、必死に真っすぐ行くように。コースのプレッシャーに負けて振り切れなかった」と、初日に6オーバーの「77」。出遅れが響いて85位タイで、予選落ちをした。
リベンジに戻った今年は6月の「日本ゴルフツアー選手権」で自己ベストの2位に入り、7月の日本プロでは9位タイにつけた。
先週の地元福岡開催「Sansan KBCオーガスタ」では初日の1番ホールでトリプルボギーを叩いたが、「そこからなんとか取り返して納得いく順位で終れた」。
自信を積み重ねてきたおかげで「緊張や、コースのプレッシャーに負けなくなった」という。
「コロナ禍の中で試合に出させていただいて、色々経験したことで、余裕を持ってコースを見渡せるようになっている」と、雪辱のコースで今年はのびのびとプレー。
535ydもある後半の5番パー5では昨年、クリークやユーティリティを持った2打目も「雨の今日なら5アイアン、練習ラウンドでは6アイアンが握れた。知らない間に飛距離も伸びた」。
首位と1差の暫定6位に、大きな成長を自覚している。
「雄大な心で、人々に勇気を与える人に」という命名から「雄大」と書いて「ゆうき」と読むが、「古川雄大」でネット検索すると、ヒットするのは俳優の古川雄大(ゆうた)さん。
ミュージカルの新プリンスと呼ばれる。
「めっちゃイケメンの方」。
同じ名前は光栄だが、「僕は”ゴルフ”とつけないと検索に出てこない。ちょっと悔しい…」。
19年のプロ入り以来「自分はどういうふうに見られているか?」。エゴサーチで見つけたツイッターには、「なんでゴルフが録画されてるの?」との苦情めいた書き込みを見つけてちょっぴり消沈。
自動録画という便利な機能により生まれた弊害に「ごめんなさい」と、心で詫びつつ23歳はひそかに思う。
「この方より有名になりたいな…」。
優勝争いを増やしたいのは、そんな動機も含まれている。