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そっとしておけない。選手ですよ! 岩田寛が米で初の首位発進(ZOZOチャンピオンシップ)
シャイなヒロシが1イーグル、6バーディ、1ボギーの「63」。
15年、16年をシード選手として戦う契機となった、14年11月のWGC「HSBCチャンピオンズ」も3日目の2位が自己最高で、結果は1差の3位だった。
岩田寛が、1差の2位に大学後輩の松山らを従え米ツアーで自身初の単独トップで初日を出た。
その様子は世界中に配信される。
その日のリーダーに、大勢の報道陣が群がる。
駆けつけたテレビカメラは中継局のテレビ朝日とネット中継のGOLFTVと、PGAツアーと3台。
秋の紅葉をイメージして選んだという黄色のポロシャツは、渋い色が多い米ツアー選手の中で、否が応でもパッと目立つ。
なのに、口はいつもと変わらず重たい。
モジモジと切り出した。
「初日、いいスタートを切れたんですけど、注目を浴びるようになってしまって。最終日のハーフまで、もし優勝争いしていたらお願いします。それまでそっとしておいてください」。
無謀な依頼でインタビュアーを困らせたが、注目を浴びると恥ずかしく、カメラで撮られるのが大の苦手なだけ。
米再挑戦をにらむ40歳の気持ちは、見た目以上に全然アツい。
今年の獲得賞金で争う「ZOZOランキング」11位の岩田が出場者に滑り込んだのは、直前の月曜朝。
先週の「日本オープン」は、最終日の74で11位に終わって都内ホテルでふて寝。
でも、8時半ごろから電話があんまり鳴るので何事かと出たら「ZOZOに出られます」。マネージャーさんの聞きなれた声がした。
半分、寝ぼけてたが「きゅうきょ出場が決まって嬉しかった」という。
淡々と準備をしたが、「すごくラッキーだなと。今も思ってます」と、ビッグチャンスを生かす気満々。
開幕直前には珍しく、反骨心をむき出す出来事もあった。
某プロ選手とクラブハウスで食事中、通りがかったある人物に、某プロ選手の「キャディさんですか?」。
いえ、選手ですが…。
間違われて発奮。
「僕の実力不足からくるんですけど、褒められるより、そういうのに燃えるものがある」。
初日のロケットダッシュの契機も、前半12番の3パットボギーから。
「バーディチャンスについて、お先にして外れちゃったんですけど。そこから逆にいい方向に行った気がします」。
絶妙な間合いの掛け合いにも、つい耳を澄ませてしまう。
そっとなんてしておけない。
日本開催の米ツアーでもヒロシワールド全開だ。