決勝ラウンド進出がかかった大事な1日。
最後の18番パー5で2打目をグリーン右横エッジまで運び、外からパターのイーグルトライはピンを1メートルオーバー。
ちらり、と頭上のスコアボードを仰いだ。
順位を確認し、「これを入れたら通る」と、確信していながら返しのパットもみすみす外した。
険しい顔で、タップインのパーパットを入れると悔しそうに体をひねった。
くしゃくしゃと髪をかきむしり、「あそこで“3パット”をするとは。1アンダーなら確実に通っていたのに。悔しい…」。
通算イーブンパーでの決勝ラウンドはほぼ絶望的と、落胆して上がってきた。
初日の雨はやみ、2日目は北海道の青空が戻った。
米カリフォルニア州で生まれ育ち、「風のゴルフは慣れている」と、経験が生きるはずだったが「遊びのゴルフとは違う。ティショットがフェアウェイに行かない。ミスが出てしまった」と、2アンダーで折り返した後半10番、11番で立て続けに左に曲げてボギー、ダボ。
カットラインがたちまち迫った。
「もったいなかったと、12番のティショットを打つまでダウンしてましたけど、そこから切り替えてやった」と、懸命に挽回につとめたが、目標のアンダーパーには戻せなかった。
「初日は悪い中でも頑張ったので、今日はもったいなかった」と悔やみ、「これだとギリギリどうなるか…」と悲観したとおりに、上がった直後は50位だった順位は、午後組の成績を加えて徐々に下がり続けて、最後は圏外の65位タイまで落ちた。
プロ初戦で初の予選突破はならなかった。
結局、最終ホールの1打が響いた。
18番の速報板で順位を確認した時。
同時に目に飛び込んだのは、すぐ後ろでラウンドしていた大西魁斗(おおにし・かいと)の名前。
幼少期から共にアメリカで学び、成長を重ねてきた2つ上の幼馴染みはこの日、奨王(ショーン)と同じ1アンダーからスタートして、7バーディ2ボギーの「67」。
通算5アンダーまで伸ばして4位タイ(終了時点)と上昇していた。
今季7度のトップ10入りで、ツアー初優勝が待たれる大西について「カイトくんは一流プロになっちゃったから。置いてけぼりです」と、開催前に冗談めかして笑っていた。
追いつきたい。
「とにかく、今日はフェアウェイにいかなかったことが練習ラウンドとの違い。もっと試合慣れをして、練習していかないといけません」。
出直しを誓った。