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日本オープンゴルフ選手権 2024

苦しさは見せない。中島啓太が、地元埼玉でのタイトルをかけて好位置

久々の帰国をみんな待っていた。

中島啓太(なかじま・けいた)は、プレー後に長蛇のサイン対応に追われたあと、今度は近くで練習していた日体大の先輩、河本力(かわもと・りき)を交えて、写真撮影会。


「啓太、こっちも~!」と、四方から目線をねだられ「もーえーて」と、なぜか関西弁で照れていた。

今季、日本でプレーするのは、4月の欧州共催「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」以来。

昨季賞金1位の資格で転戦する欧州・DPワールドツアーでは、来季PGAツアーの出場権をかけたポイント争いが正念場だが、「今回は地元での開催ですし、日本オープンは勝ちたい試合」と、前後3試合を蹴ってまでも緊急出場。

今年8月のパリ五輪開催中に、「突然、靴下も履けなくなった」とひどい腰痛を発症し、49位に終わった。

「向こうでは、毎週トレーナーさんを帯同することは難しい。セルフケアやトレーニングはしてますけど、疲労がたまる週もある」と、海外では思うようにはいかないが、今週は、アマ選抜のナショナルチームを卒業後も、手厚いサポートを受ける公益財団法人日本ゴルフ協会(JGA)主催。

「先週からトレーナーさんにサポートしてもらって、今は体が万全でゴルフができることが幸せ」と、恩人らに結果で応える2日目の3アンダー「67」。

この日フェアウェイを外したのは前・後半で1回ずつのみ。
4バーディと、唯一ボギーが後半5番のパー5というのは悔しいが、2日間、同組で回った石川遼は「それがあってもこのスコアにものすごいポテンシャルを感じる。素晴らしいな」と、感心していた。




      前日初日は、7番で深いラフから2回も空振りしてトリプルボギーを喫したが、「トレーナーさんや、キャディさんが笑いに変えてくれたので」と、周囲のおかげで引きずることなく済んでいる。

      ここ東京ゴルフ倶楽部は、「小学時代にジュニアの試合に出てたぶん80以上は叩きました。難しい…」と、大人になった今も印象は変わらない。

      それでも、「ラフに入れてはいけないというプレッシャーが大きい分、狭く見えがちですけど、その分集中して打てればフェアウェイに行きますし、そこまで狭くないのかな」と、この2日で岡崎キャディと意見が一致。


      600ヤードを超える13番のパー5は、海外で磨きをかけた小技を駆使して、ラフの中から寄せてバーディを奪った。
      「今までの経験が、生きていると思います」と低音ボイスでうなずく。

      通算4アンダーの好位置で決勝へ。

      土日のV争いも我慢比べは必至だが、「せっかく日本でゴルフをしているわけですし、苦しんでいるところは見せたくない」と、勝ち方にもこだわる。

      「地元開催の日本オープンですし、週末は、たくさんの方に来て欲しい。その中で、優勝できるように。苦しい時間も多いと思いますけど、楽しみながら勝ちたいです」。
      久々の帰国でも、颯爽のVシーンを見てもらいたい。

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