前半5アンダーの猛ダッシュは確かに「結果だけみれば良い結果」である。
でも、前半の上り8、9番の連続バーディは、いずれもティショットが失敗。
「8番(パー3)は、かなりミスでしたがそこからラッキーのチップイン。9番もミスが傾斜で戻ってきたりとか」。
前半の懸念と反省は、後半11、13、14番のボギーにきっちりと反映された。
「悪いショットがべたピンに寄ってくれたりしましたけど。良いショットと悪いショットの差が大きくて。強振するか、緩むかのどちらか。そこでミスが出た。後半の3ボギーはそのまま結果につながってしまった」。
せっかくの好ダッシュを、立て続けに吐き出したが、昨季の賞金王はそこで終わらず、べたピンの15、16と、17番のパー5とで3連続バーディ。
やにわに返り咲きを決めると、最後魔の18番パー3では見事なパー締め。
「最後ほとんど諦めでした」と明かす左ラフから60度を操った15ヤードのアプローチは、「思いのほか寄ってくれた。予想以上の結果となりました」と、ピン上から急こう配を滑らせ、楽にタップイン。
昨年大会も初日首位だった。
大会史上6人目となる、2年連続の首位発進を成功させた。
地元埼玉開催の「日本オープン」で、最終日を2打差の5位で出ながら、「ノーバーディ」の6位に終わったことが悔しくて、本大会の出場を決断した。
これで今年の義務試合数を満たし、賞金ランキングによる“66人目”のシード権獲得を確定させたが、今季これまで2試合で賞金ランキングはまだ63位。
出場30選手の中では断トツの最下位で、ランキングの下位順に組まれる初日のペアリングも、一番手になったが成績順に組み替えられる2日目以降は「どんどん後ろへ。最終組に近づいていけるように」と、話したしりから、もう有言実行だ。
プレー後に、さっそく受けた日本テレビのインタビューでも西日に照らされちょっぴり目立っていた右ほおの傷は、先月のハロウィーンの仮装で、ペイントシールをはがす時についてしまったものだそうだ。
「自分の中ではあまり変化は感じてないんですけど、最近よく言われるのは雰囲気が明るくなったね、ということ。余裕が出てきて、キャディさんとも楽しく会話しながらやっているのがいいのかな?」と、この日もスコアを崩しかけた時にも、岡崎キャディと和やかに話し合い、「上手く切り替えられた」と、挽回。
待ち構えた大勢のファンに、最後まで笑顔で応えることができた。
昨季の賞金王は、今大会を待たずに初戴冠を決めたが、今年は6人もの選手がその可能性を残しており、史上まれにみる僅差のレースが展開される。
「いや…うーん、そうですね」と、しばし熟考したあと、「ここに出ている選手はこの試合で優勝することを標にしていますし、賞金争いをされている人も賞金王になるために何位であがろうとか思っていないと思う」と、みなの心情を察する。
昨年大会も初日の首位発進から3日続けてトップをキープしながら、最後は1差の2位で負けている。
「みんな、この試合に勝つためにやっていますし、僕も勝つために必死でやります」。
変わらずの低音ボイスは依然として淀みがなかった。