丈高い林越えでの帰還を狙った次の3打目は、確かにラフのあたりに落ちたはずだが見つからない。
時間切れで、また4番ホールへ打ち直しに戻ったが、5打目がまた行方不明になり、再びロストボールに。
その直後に、最初の1球目が見つかったそうだが、もはやそのボールでプレーはできない。
3度目の打ち直しに戻る前、「もうやめたい」と、ついこぼした。
くじけそうな清水を押しとどめてくれたのが、沖田キャディだ。
7打目でやっと通常ルートに戻ることができ、8打目を乗せて2パット。
ダブルパーの「10」を叩いて、優勝争いから陥落した。
通算9アンダーまで落ちた。
首位を走るヨンハンと6打差ついた。
消沈する清水に沖田キャディは言ったそうだ。
「6打差だったら諦めないっしょ」。
その言葉ですぐ次の8番のティショットから気持ちを切り替えられ、結果、首位と1打差までまた戻って来られたという。
7番で、本人は地獄のような心境で過ごしたと思うが、応援してくれるギャラリーに笑顔さえ振りまき、10打目がかかった1.5メートルのパットを決めた瞬間起きた拍手のほうにもちゃんと顔を向け、しっかりとお礼の会釈を返した。
投げ出したくなるような気持ちをこらえて腐らずに、元の位置まで挽回して来た。
主催者推薦を受けて初出場を果たした10月の日米共催「ZOZOチャンピオンシップ」では扁桃炎を発症。
声はかすれ、咽頭も腫れ、息をするのも苦しい状況で4日間を完走し、16位タイの成績を残すと、プレー後にすぐ主催者さんたちが控えるVIPテントへ。
喉を振り絞り、お礼を言って歩いていた。
この日のプレー後も「あのホールに関しては、思い出したくないです」と、辛そうに本音は述べたが、それでも報道陣に向けて1打1打を丁寧に振り返り、「この位置に帰ってこられてよかったと思います」と安堵を語り、「明日はぜったいにこんなことはないように。ひたすらバーディ獲っていけるように頑張ります」。
最終日こそ、頼りになるキャディと心を揃えて歩ききる。