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カシオワールドオープン 2001
「結果を出すのが僕らの仕事」
ここに、8年間の成果が集約されていた。18番パー5。
17番のボギーで、スペインのセルヒオ・ガルシアに1打差、チャンドに2打差まで迫られ、プレーオフを覚悟した場面。
先にティショットを打った2人が、ともに、ラフに打ち込んだ。
最後に打つ室田。
「何も考えない。自分のスィングをしようと」振り切ったドライバーは、フェアウェーセンター。
さらに、4番アイアンで打った、残り199ヤードの第2打は、ギャラリーの大歓声で、グリーンの下の段に乗ったな」ということは想像できたが、砲台のグリーン面は、2打地点からは見えない。
先に、グリーンそばに歩いていったチャンドが、室田に向かって、大きな万歳を作った。
拍手に包まれながら、キャディのブルースさんとグリーンに上がると、ボールは、ピンそば30センチ。OKイーグルの距離にあった。
「本当に、嬉しかった。大詰めで、僕にもこんなことができるなんて・・・。これまで取り組んできたことが、ちょっとは身についているのかな、と実感できたのが、18番のショットでした」
最終日は、「歳が僕の半分以下」の、ガルシア、チャンドとのV争い。しかも、2人とも、攻撃ゴルフが身上だ。
スタート時にあった4打差にも、余裕など持てなかった。
出だしから、プレッシャーで、ティショットは左へ、左へ。
「緊張すると、どうしても体が止まって、下半身のターンが遅くなる。真っ直ぐ打ちたいと思うほど、フェースは閉じて、低い弾道で、左に飛び出していく」
だがそれも、ツアー16年目、優勝8回の経験で、わかりきったことだった。
「まあ、いつものことだ」と、気にとめず、室田はホールを進んだ。
「広い場所に行けば、そのうち、しっかり振れるようになるだろう」と受け止め、「気持ちだけは、相手にも、自分にも負けないように」と心に決めた。