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日本ゴルフツアー選手権宍戸ヒルズカップ 2003

『歓声を、後ろの組に聞かせたい』初優勝を狙う高山忠洋は、2打差3位タイ

これまで、何度も優勝争いはしてきた。だが、トップに2打差まで詰め寄って、最終日を迎えるのは初めてのこと。だが高山に気負いはない。初優勝のプレッシャーより、いま、胸に去来しているのは、ワクワクした気持ち。「いったい、どんなゴルフができるのか・・・。すごく楽しみ!」。
この日3日目の伊沢、手嶋との最終組にも、妙に冷静な自分を感じていた。
大ギャラリーの中、父の声だけがくっきりと聞こえてくるのだ。バーディパットを決めるたびに、「ナイスナイス!!」。周囲にまぎれてどこにいるのか姿は見当たらないし、もちろん、この日、きゅきょ応援にかけつけてくれた父がことさら声を張り上げているわけでもない。「なのに、なんだかス・・・っと耳に入ってきた」。
12番では、カラーからピッチングウェッジでのアプローチ。ヘッドがガツン、と入って5メートルもオーバーさせた。しかし特に心は波立つことなく、静かなままだった。むしろ、そばのグリーンそばを流れるクリークの水のせせらぎが「チロチロチロ・・・」と、聞こえてきた。
「これまでになく、そういう心地よい音が、自然と入ってきたんです。それで“あれ、なんか俺、今日はずいぶん冷静だな”って感じてた」。
これまでは、自分のミスに激しく怒り自滅することも多かったが、「確実に、成長している自分を感じますね」と高山。
最終日は、首位の伊沢のひとつ前の組でラウンドだ。「前半にできるだけ伸ばして、僕の組の歓声を後ろの組に聞かせたい」。初優勝は、ツアープレーヤーNO.1の座で決めたい。

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