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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2007

今大会初出場の岩田寛が首位タイ浮上

17番、18番で力強く握ったこぶし
16番で1メートルもないパーパットを外して3パットのボギーを打った。「自分の不甲斐なさに腹が立って・・・逆に気合が入った」。次の17番パー5。残り12ヤードのアプローチをサンドウェッジでチップイン。さらに18番パー3は、グリーンカラーから、パターでまたもやチップイン。
外からの連続チップインに、立て続けに飛び出したガッツポーズは「生まれて初めて」無意識で出た。
26歳の“歴史的瞬間”を、会場内のモニターテレビで見て仰天したのは東北福祉大の同級生たちだ。

宮里優作と、そのキャディの佐藤賢和(よしかず)さんが手を叩いて喜んだ。
「ついに出たよ、ヒロシの“ナチュラルガッツポーズ”が・・・!」。
佐藤さんに至っては「俺、それを見た瞬間泣きそうになっちゃったよ」と、冗談まじりに冷やかした。

本人いわく「もの凄くシャイな性格」。
怒りの感情は割とすんなり出せるのだが、嬉しいとか楽しいといった、喜びの気持ちを表現するのがヘタクソだ。

「照れくさくて・・・」。
人前で話すのも大の苦手。
もしこのまま最終日にツアー初優勝を飾ったら・・・。
「スピーチは、断れますか?」と、真顔で懇願するほどだ。

しかし、内心は自覚している。
「もっと感情を出していったほうが、ゴルフでもノって行ける」。
今年初シード入りを決めたひとつ下の藤島豊和を見るにつけ、つくづくと思う。
10月のコカ・コーラ東海クラシックでカミロ・ビジェガスと優勝争いを繰り広げた後輩は常にリアクションが大きくて、それがますます彼自身を盛り立てていくようだ。

この日3日目のガッツポーズは、自然発生的に出たものだったが、「僕も豊和のように、本当はわざとやりたい」。

シード2年目の今年は、勝ち星こそないものの、トップ10入り5回。賞金ランクは19位で、この“頂上決戦”の出場権を手に入れた。
初出場にして首位も、最終日最終組も自身初。
またもし勝てば、初出場の選手がツアー初優勝を飾るのは44回の長い歴史の中で、3人目の快挙となる。

この晴れ舞台にも開幕前に「いつものトーナメントと変わらない」と淡々と話し、初日のスタート前に全員出席の恒例の開会式で「ようやく実感できるかも」と、本人も期待していたのだが、大会会長の開会宣言のあと、大会の演出として(社)日本ハトレース協会のみなさんの手で空高く解き放たれた600羽もの鳩にフンを引っ掛けられて、初日に限ってはむしろテンションは急降下・・・。

周囲に「“運”がついた」と慰められた言葉を現実のものとするためにも最終日こそ、積極的にガッツポーズ”を握りたい。

※最終日の競技終了後は出場選手が全員参加して、この1年間、応援してくださったファンのみなさんに感謝の気持ちを伝える閉会セレモニーがあります。お楽しみに…!!

  • 最終日は意識して、ガッツポーズを握って盛り上げたい

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