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ザ・ゴルフトーナメントin御前崎 2006
S・K・ホ「僕も遠慮しませんでした」
よく谷口を「先生」と呼んで、アドバイスを求めてきたSK。
しかし、ここ数年でめきめきと力をつけて、谷口を上回ることもしばしばだった。そんなSKを、けん制するセリフ。
しかしこの日最終日。一時、谷口に4打差をつけて、独走態勢に入ったSKを猛然と追いかけてきたのがほかでもない、その谷口だった。
このときのことを覚えていたSKはラウンド途中にそのまま同じ言葉を谷口に返した。
「谷口さん、遠慮って言葉知ってますか」。
即座に谷口が答えた。
「関西に、遠慮なんて言葉はない」。
SKも、負けてはいない。
「韓国にもそんな言葉はないから。僕も、今日は遠慮せずに行きますよ」。
この会話をきっかけに、ゲームはますますヒートアップだ。
しかし今回SKにはやや不利だったのが、イギリスから帰ったばかりということだった。
全英オープンで11位タイに入って、その足での静岡入り。
時差ボケに加え、後半になればなるほど、体力不足は否めなかった。
6番、7番の連続ボギーで、谷口の付け入るスキを与えた。
「今日はあとで、“なんでこういうことをしたんだろう”というような判断ミスが多かった」。
大事な上がり15番、16番でも連続ボギーを打って、一時は戦線から脱落。
「16番のボギーで終わったと思ったら気持ちが楽になって・・・バーディが取れたんです。もっと早くそういう気持ちになっていれば、とも思いますが、最後は、神様が決めることですからね」。
上がり2ホールで連続バーディを取り返し、どうにかプレーオフには加わったが、結局その3ホール目に敗退した。
それでも、勝った谷口は優勝インタビューで最後にこう言っていた。
「もしSKが時差ボケでなかったら僕は負けていたと思う」。
チャンピオンも脱帽する粘り強さが、ゲームをよりいっそうスリリングにした。