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アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ パナソニックオープン 2008

鈴木亨「夢と希望を与えるゴルフを」

暫定6位タイには浮上したものの、満身創痍だ。まず8月のバナH杯KBCオーガスタで股関節を痛めて途中棄権。さらに次のフジサンケイクラシックは座薬を入れて、なんとか痛みを抑えていたが、週末には背中まで痛みはじめた。

そして、翌週のANAオープン。
症状は左肩まで広がり、いまもラウンド中は薬が手放せないほどだ。

一時は立ったり座ったりという単純な動作すら困難だった。
それでもフジサンケイクラシックの初日のインコースで40を打ちながら予選を突破して30位タイ。
やはりANAオープンの初日にインコースで40を打ちながら、最終日は38位タイ。
「肉体的にも、つらい日が続いていながら、それでもまだやれている自分に自信がついた」という。

発症後、献身的なケアで支えてくれるツアー専属トレーナーの成瀬克弘氏に「気張らないで行きましょう」とのアドバイスを受けたと打ち明けて、つい苦笑する。

「・・・自分はまだ若いと思ってつい力が入るんだよね。分っているんだけど、結果を出したいと欲が出て。もう42歳なのにね」。

自嘲気味にこぼしながら、それでも生き生きと語る。
年齢とともに、体の衰えは否めない。
これから先も、痛い箇所は増えていくかもしれない。
「でもそれらとうまくつきあって、自分なりに新しいゴルフを見つけたいし、その光が見えかけてもいる。それに向かって、ひたすら頑張りたいという気持ちがある」。

お手本は、先週のANAオープンで2位タイにつけた中嶋常幸だ。
兄貴分として、また大先輩として慕い尊敬を寄せる53歳は「若手じゃできない、50代ならではの色気のあるゴルフ。見習いたい。僕も40代の人たちに、夢と希望を与えるゴルフを見せたい」。

だからいまは、体中のケガもその課程の試練と真摯に受けとめ、自分自身と懸命に戦っている。


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