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UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ 2006
髙橋竜彦「日本ツアーで戦うことに意味がある」
今年5月に東京ゴルフ倶楽部で行われた全米オープンの最終予選会。妻・葉月さんのたっての願いもあって挑戦した。
けっきょく落選したが、もし仮に出場権を手にしていたとしても、今回のツアー通算2勝目ほどには「嬉しくなかっただろう」とさえ思う。
もちろん、海外ツアーへの参戦を否定しているわけではない。
今大会の優勝者に与えられる、8月の世界ゴルフ選手権『ブリヂストン招待』にも、万全の体勢で乗り込むつもりだ。
「いつか、メジャーに出たい」という欲もある。
しかし、まずそれ以上に「この日本ツアーを大事にしていきたい」という思いが髙橋にはある。
まだ出場権のない時代、アジアンツアーを転戦した。
米ツアーに出場したこともある。
海を越えて経験を積んでなお、「日本ツアーは、世界でいちばん素晴らしいツアーだと僕は思う」と高橋が言ったその意図は、アメリカと比べてだとか、コースセッティングとか、選手のレベルうんぬんの話ではない。
「自分が一番輝ける場所だと思うから」というふうな表現をしたが、もちろん単なる自己満足でもない。
そこには、まず自分たちがそういう意識を持って、今まさに自分たちが戦っているこの舞台を、自分たちが愛し、押し上げていかなくて誰がやる、といった気持ちがこもっていたのではなかっただろうか。
以前、あるチャリティイベントで「僕ら選手の力で、もっともっと日本ツアーの価値を高めていかないと」と、語っていたことがある。
「そのためには、日々小さな努力を重ねていかないと」とも。
現状を嘆く前に、やるべきことはたくさんある。
そんな思いがあるからこそ、あえて優勝インタビューで髙橋は「僕にとって、大好きな日本ツアーで戦い続けることにこそ、大きな意味がある」と、言ったのではないだろうか。
表彰式終了後、海外のテレビ局からインタビューを受けた。
外国人のカメラマンに、あちこち記念撮影に連れまわされた。
今年、世界有数の金融機関UBSが新たにタイトルスポンサーについたことで、海外からの注目も増した。
マーク・ブランソンUBS証券会社CEO(=写真上、右)より、「私たちUBSグループは、あなたがチャンピオンであることを誇りに思う」との賛辞も受けた。
この大舞台で頂点に立った、という自覚にこう思わずにはいられない。
「これからも、ツアープレーヤー№1の名に恥じないゴルフができるようになりたい」。
熱い気持ちで、ますます日本ツアーを引っ張っていく。