15番で気がついた。パッティングのタッチがいつもと違う。「普段はしっかりと打つタイプ」。しかし、前日から２日連続の晴天とこの日の強風の影響で、グリーンのスピードが増した。「そのために、いつものストロークを忘れていた」。
９番から４連続ボギーを打って最初あった３打の貯金を吐き出した。２位グループに飲み込まれたが思い出したとたんにバーディが来た。
４メートルを沈めると、続く16番パー３は、左奥から７メートル。
２連続バーディで息を吹き返した。
再び首位で、昨年の最終戦「ゴルフ日本シリーズＪＴカップ」以来、自身２度目の最終日最終組を迎える。

ポーカーフェイスだ。
「感情を表に出すのが苦手」だから、淡々とマイペースでプレーしているように見えるが、意外と周りを気にしながらラウンドするタイプだと、発見したのは前日２日目。
後半の１番から５連続バーディで一時は独走態勢を築いたが、「意識してしまって…」。
他の選手のスコアを気にしたり、とたんにペースを崩しただけに、いよいよ決戦を前に改めて心に誓った。

「明日は、特に周りを気にしないでやりたい」。

シード2年目の目標はツアー初優勝ではなく、「今季２勝」。
そのためにも、できるだけ早く最初の壁を突破して、さらにその先を目指せる態勢を作りたい。

• 岩田 寛