記事
アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ パナソニックオープン 2008
桑原克典「夢がないけど」
「あともう少しなんだけど・・・」。
シード権を狙う選手にとっては、この“あと少し”がなかなかくせもの。
「ここのところ、調子もよくなくて」。8月から3試合連続の予選落ちを喫し、「普段は滅多に人に聞かない」という選手が先週のANAオープンで、救いを求めたのがベテランの水巻善典と、同期の丸山茂樹だ。
実は練習場で、質問の相手を“物色”していた。
聞く相手によっては、かえって迷いにはまる場合があるからだ。
注意深く観察して「ショットは水巻さん、パットはマル」に決めたらこれが大正解。
内容はマル秘だが、いずれも「今後の僕のゴルフ人生を変えてくれそうなくらい、素晴らしいアドバイスがもらえた」という。
この日2日目は前半の5番ホールを終えたところで雷雨のため競技中断。
約2時間半後に再開するなり、いきなりボギーを打ったが流れは途切れなかった。
「今日は、特にショットが良かったからこれ以上、崩れることもない」とすぐに気持ちを切り替え、
続く7番で残り210ヤードの第2打を7番ウッドで20センチにつけるバーディで立て直し、さらに8番で2連続。
通算7アンダーは暫定2位タイに、「夢がないと言われそうだけど、今の僕には優勝よりまずシード権」とプロ16年の39歳が言い切った。
愛知学院大学時代に数々のアマタイトルをひっさげて鳴り物入りでデビュー。
以来11年間、自分がツアーの出場権を失う日が来るなどと、考えたこともなかった。
しかし2006年にシード落ちを喫して、初めてその気持ちが理解できたという。
「前は、どこからでもピンをデットに狙ってやんちゃもしていたけどね。今はすっかり分別のある大人のセーフティゴルフ」と、桑原。
「2年もシードを失うと、そうなってしまうんですね・・・。ファンのみなさんには申し訳ないけれど、いまはどうかそれで勘弁してください」と頭を下げた。