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東建コーポレーションカップ 2000

「昨年は思いつめていた。今年は、楽しく気楽に、シード入りを目指します」

 一昨年、グローイングツアー(現チャレンジツアー)ランク上位でのレギュラーツアー出場権を獲得しながら、「ボギーを打ったあと、ぶすっとしながらプレーしちゃったり、気合満々でプレーして自滅ちゃったり」と、気持ちが空回りして、シード入りできなかった。
 「昨年は、順位にこだわって自分にプレッシャーをかけ、思いつめたようなゴルフをしていたんです」(原口)。

 今季は、ファイナルQTランク28位の資格で出直し。「ボギー打ってもダボ打ってものんびりと楽しんでプレーして、チャンスが来たら取るゴルフをしたい」と、気持ちも新たに開幕戦に乗りこんできた。

 この日は、雨で重くなった芝対策として、「弾道を低く落して、キャリーの強い球を出すようなショットを心がけました。昨日サンドウェッジで打ったところを6番アイアンで確実にパーオンするよう心がけ、しのぎながらチャンスを取った」という。 3日目は71とスコアをひとつ伸ばして通算4アンダー、4位タイで最終日を迎えるが「順位はまったく気にしてない。あと18ホールまわって、その結果どうだった、というふうな気持ちでゴルフをしたい」と、力強く言いきった。

 昨年連戦中の、何か常に不安げな様子とはうってかわって、今季の原口には自信がみなぎっているようだ。

 秘密は、オフに徹底的に鍛えなおした肉体面にあった。

 昨年の大晦日と今年の元旦。日大時代の先輩・丸山茂樹に呼び出された。「みんなでトレーニングするからオマエも来いよ」

 丸山が、ウェイトトレーニングに励んでいることはすでに噂では聞いていたが、実際に見るまでは「ほんとうにそんなにやってるのかな」と、半信半疑だった。 元日から、ハードに汗を流す先輩の姿を見て、度肝を抜かれた。「強烈でした。これほどの人が、こんなに真剣にやっているのに、ぼくレベルの人間がやらないでどうするんだ、ってガーンときたんです」

 早速、自分でもトレーニングメニューをつくって取り組んだ。開幕直前の2月29日まで、ひたすらトレーニングだけに打ち込んだ。

 成果は、数字となってあらわれた。「負荷の量がやりはじめの倍になった。たとえば最初45キロしか上がらなかったベンチプレスが今は90キロはいける」雨にも負けない強い弾道の球が打てるようになったのも、そのたまものだ。それと、アプローチやパットの小技にも効果が出ていることがわかった。

 「体が安定しているから、きっちりと手が動かせるって感じ。筋肉が楽にあがって、振った分だけ動くんですね。今年は、丸山さんを見習って、シーズン中トレーニングを続けます。丸山さんの影響は、ほんとうにデカイんです。」

 165センチ、89キロと、愛嬌ある体格の原口が、小さな巨人として今季ツアーで大暴れしそうだ。 

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