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Philip Morris Championship 2000
▼ トピックス2位タイにつけた鈴木亨
30位タイに終わった2週前の日本オープン。終了後に「実はあのとき、ゴルフをやめようと思った」と鈴木が言う。初日、71でまわって11位タイ。優勝も狙える位置にいながら、3、4日目に叩いて後退。
今季は、2年ぶりのツアー5勝目を狙って、強化トレーニングなどさまざまなことに取組んできた。「なのに…日本オープンのようなパターンで崩れた試合は他にもたくさんあった。こんなに一生懸命やっているのに、俺はどうして、こんなにも叩きのめされるのか」。
失意のどん底に突き落とされた鈴木は「もぬけの殻状態。もうクラブを握るのもいやになった」という。
だが、その翌日は尊敬する先輩、中嶋常幸が主催するプロアマトーナメントに出る約束をしていた。
ゴルフなんて、もう、本当はしたくない。
気は乗らなかったが「中嶋さんとの約束だから」と出かけていった鈴木。
コースで、スタート前に無心に球を打つうちに、鈴木は自分の本心に気付いたのだ。「俺は本当に、ゴルフが好きだ」
「球を打っているうちにね、腹が立っても、怒っても、やっぱりゴルフはやめられないとわかったんです。ゴルフは好きで好きで、それでこの道に進んだのに、今ここでやめたら、一生後悔する。もう1回、気持ちを入れ替えてやりとおそう、と、何か自然に思えたんですね」
今、ゴルフの調子は上向き、とは言えない。
「ここまでやれたのは、今週から使いはじめたボール(タイトリストPROVI392)のおかげ。以前より飛距離が20ヤードくらい伸びて、18番は、残り182ヤードを6アイアンで打ってピンまで2メートル。あれはラッキーイーグル。本当なら、あんなところまで飛ばないです」
だから、「自分にはあまり期待していない」と鈴木。しかし、気持ちを入れ替えた今、「眉間にしわを寄せながらやるんじゃなくて、大好きなゴルフを心から楽しんでいる姿を、みなさんに見ていただきたい」。
笑顔の先には、きっと栄冠が待ち構えているはずだ。