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片山晋呉が好発進

ことごとくピンを刺す。鍛え抜かれた肉体から繰り出すショットは、韓国・済州島の強風もものともしない。ほとんど毎ホール、バーディチャンスを迎える。面白いようにボールがカップに寄っていく・・・。

欧州とアジア共催のバランタイン選手権で、片山晋呉が首位と1打差の3位タイと絶好のスタートを切った。
スタートの10番パー5(543ヤード)から、すでにこの日のゴルフを予感させた。
残り216ヤードの第2打は、同組でまわったマスターズチャンピオンのサンディ・ライルも思わず目を剥くスーパーショット。
5番ウッドで左手前1メートルにピタリとつけた。
見事な2オン、そして楽々イーグル奪取に本人も驚いた。
「こんなの、生まれて初めてじゃない!?」。
初日のスタートホールでのイーグルは、もちろんこれまでにも何度か経験はあるが「チップインとか、たまたま入った感じのばっかりで。こんなきれいなイーグルは、ほんと初めてかもしれないよ!」。

日ごろの鍛錬のたまものだ。
この日は8時05分にティオフ。冷え込みのきつい早朝のスタートにもかかわらず、片山の体はまるで、新体操の選手のように滑らかに動いた。

チームを組んで3年になる中村俊介トレーナーを帯同し、朝5時に起きて約1時間の入念なトレーニングとストレッチ。そして何より、このオフの宮崎合宿の成果がのっけから出た。

体重は昨年より4キロ減の70キロ。体脂肪は4%減の17%。それでいて、筋肉量は5%アップしている。
近頃は、テンガロンハットを被らない日に「遠目だと、シンゴだって分からない」と、知人に言われることもしばしばだが、「相当(トレーニングを)やっているからね。それだけ、余分なものがそぎ落とされたってことじゃないかな」と、引き締まった胸を張る。

世界を股にかける活躍と、明るいキャラクターは韓国でも有名だ。

ホールアウト後、“カウボーイシンゴ”を取り囲んだ地元メディアも興味津々。
「経験の豊富な片山さんから見て、ここピンクスゴルフクラブはいかがですか」などと、ひとしきり真面目な質問をぶつけたあとで、「・・・今日も凄くオシャレですけど、コーディネイトには何分かけられたのですか?」。

そんなことをふいに聞かれて、思わず目をシロクロさせた片山。
「ええっ!? 何分・・・て、どう答えればいいのかなあ!!」。
答えに詰まる様子に、記者も我に返って恐縮しきり。
「スミマセン、僕が個人的に聞きたかったもので・・・」。頬を真っ赤にして謝罪する様子に、片山もつい吹き出す一幕も。

このあと、日曜日にいったん日本に帰るが、すぐ翌日にはアメリカに旅立つ。
現在、ランク54位の世界ランカーは、世界ゴルフ選手権の「CAチャンピオンシップ」に出場する。
「9時間くらいしか日本にはいられないけれど・・・」と、自ら立てたハードスケジュールに苦笑しつつ、「この状況を幸せだと思って頑張ろうと思っている」としみじみと片山は言った。
「だって、大好きなゴルフでこうして世界の舞台に立てるんだからね・・・!」。
鍛え上げた肉体は、夢と希望で出来ている。
  • マスターズ1勝、全英オープン1勝の同組のサンディ・ライル(右)も凌駕して、好スタートを切った片山(左)

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