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宇部興産オープン 2001

今週のコースとみどころ

遠藤誠JGTO競技運営ディレクター

 「ここ、宇部CC江畑池コースでの開催は、まだ2年目を迎えたばかりですが、大会の歴史は今年で30周年。長い月日の間に、数々の名ドラマを作り上げてきました。
 30回の記念大会には、11年ぶりの登場となる青木功や、尾崎兄弟の3人、中嶋常幸など役者がそろい、今年も盛大に行われます。

 会場の江畑池コースの大きな特徴は、“グリーンから逆算した綿密な攻略が必要”だということ。
 飛距離より、計画性。
 池やクリークが多用されたロケーションは、距離感とショットの正確さを問われ、第2打で、自分のもっとも得意な距離の番手を残したりと、ティショットでの工夫や打ち分けが冷静に実行できたプレーヤーに、有利といえるでしょう。

 昨年からの変更点は、9番、15番など。
 フェアウェー第2打地点に池が横たわる9番パー4は、ティグラウンドの位置を前にして、ドライバーでの池超えチャンスも与え、選手たちが、よりチャレンジングに攻めていけるホールに変えました。
 一方で、確実に刻んでもよし、思い切って攻めてバーディを狙うもよし、いずれにせよ、戦略の幅を持たせることで、プレーヤーたちそれぞれの考えが、より明確に伺えるホールに変わったわけです。

 15番は、ブーメラン状に大きく左にドッグレッグしたパー5。ここでも、ティグラウンドをやや前に出し、2オンの可能性を作りました。
 挑戦すればイーグルも望めますが、それなりのリスクもあり、グリーン手前の湿地帯やラフに打ち込めば、パーセーブも困難です。
 ただし、刻んでも、バーディ可能なホールですから、守るのか攻めるのか。選手たちが下した選択結果も見ものです。

 コースの一番のみどころは、やはり終盤の2ホールでしょう。
 17番は、なんと、何人の達成者が出てもそれぞれに1000万円全額が贈られるという、ホールインワン賞がかかったパー3。
 もっともこのホールは、ホールインワンどころか、V争いで緊迫感の渦中にある選手にとっては、パーセーブもきわどい勝負ホール。
 なぜなら、山と山に挟まれたティグラウンドではそれほど感じられない風が、ティショットを打ってボールが100ヤード地点を超えたあたりから、いきなり谷が開けているために、ここで球に風が向きを変え、ボールを翻弄する可能性もあるからです。
 ここは、技術以上に運も左右されるホール。
 ボールが落下するまで、まったく結果が予想できないという点で、選手たちにとっては、もっともいやらしいホールのひとつといえるでしょう。

 ここでミスすると、ラスト18番での谷超えのセカンドショットに、プレッシャーがかかります。
 18番では、第1打でドライバーが使えず、しかも、飛びすぎるとラフにつかまり、かといって距離が残ると、池超えは困難に。たった40ヤードのレイアップという憂き目に遭うこともあるからです。

 今週は、最後まで息のつけないゲーム展開が予想されます。
 江畑池コースに集結したトッププレーヤーたちのせめぎ合いを、会場で、またブラウン管を通してどうぞご堪能ください」

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