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マスターズ3日目

本戦が始まってから、現地では気温10度を下回る日が続いているそうだ。通年、半そでの観戦で十分と言われているオーガスタ。しかし、今年は思いがけない寒さに、ショップでは防寒着が飛ぶような売れ行きという。

その上、この日3日目は風が吹き荒れて、史上稀に見る厳しいコンディション。
とうとう、スコアボードからアンダーパーが消えた。
リーダーのスチュワート・アップルビーの通算2オーバーは、54ホール終了時点でマスターズ始まって以来のハイスコア。

片山晋呉も、内容はけして悪くなかった。
「今日のミスは15番の池ポチャくらい」。

それでも、80を打った。どれだけ良いゴルフをしても、まったくスコアが作れない。
通算15オーバーまで落ちた。
難しいピン位置。めまぐるしく方向を変える強い風もジャッジを狂わせた。

「過去最高のゴルフ」を展開したのは前日2日目。
7オーバースタートから、執念の決勝進出を果たした。
バック9では予選通過を意識して「手が震えていた」と、振り返る。

そんなシビアな中でのラウンドに「昨日のゴルフで、力を使い果たしてしまったのかもしれない」と、唇をかんだ賞金王。

それでも、ラウンド中は独特の世界を展開してパトロンをひきつけた。
きさくに話しかけ、笑いを誘う。
4番ティグラウンドでの待ち時間で、いつものストレッチ運動。両足を180度開脚できるほどの柔軟性を披露して喝采を浴びた。
3番では、難易度の高いアプローチでしっかり魅せた。
どんな状況でも、ゴルフを楽しもうとする姿勢が随所に見られた。

順位こそ大きく後退したが、いよいよ迎える最終日。
シビアな状況の中でもせめて、自分なりに納得できる手土産を持って帰りたい。

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