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日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズカップ 2004
日本ゴルフツアー選手権宍戸ヒルズカップ2004年の“ツアープレーヤーNO.1”の称号は、プレーオフ2ホールの激闘を制して 韓国のS・K・ホの頭上に!!
友人との約束を果たし、5月の日本プロに続く今季メジャー2勝目!!近藤智弘とのプ レーオフ2ホールの激闘を制したS・K・ホ
専属キャディの柏木一了さんがいつも驚かされるのは、プレーそのものよりもむし ろ、ホの心の強さだ という。
「どんなピンチに立たされても、表情をピクリとも変えない。あの人が、焦っている ところを一度も見 たことがない。プレッシャーとは無縁の選手。それがSKなんです」。
「全力を尽くしたら、あとの結果は神様が決めること」が、ホの口癖だ。
まるで風にしなやかに身を任せる柳のように。一見飄々とした表情の下に、公言した らそれを必ずや りとげてみせる、強靭な精神力を隠している。
この日最終日の3番パー3では、友人との約束を果たした。
前日3日目。同じ組でまわった大親友の星野英正が16番ホールでホールインワンを達 成し、賞金100万円 を手にしていた。
その日夜の星野との食事の席で、ホはこともなげに言ってみせたそうだ。
「じゃあ明日は、僕が賞金のかかった3番でホールインワンしてごちそうするよ」。
果たして、6アイアンで打ったティショットは、手前10メートルを一直線に転がって いき、カップに吸い込まれていった。
「確かに、昨日の晩に言ったときは冗談だったかもしれないけれど、それさえも実現 させてしまうSKの強運に、僕は鳥肌が立ちました」(柏木さん)。
気持ちの切り替えも早い。
3番のホールインワンを含む、68でまわって首位の近藤をとらえ、先にホが通算5アン ダーでホールアウ ト。同スコアで並ぶ最終組の近藤のプレーをアテスト小屋のテレビで見ていたとき、 近藤がティショッ トを、右に曲げた。
「今日の18番のピンの位置はとても難しい・・・。実は、あの時点でもう勝てたと思っ て、内心ホっとし てたんです」。
だが近藤が、左から3メートルのパーパットをねじこんで、サドンデスのプレーオフ が決まった瞬 間。すでにホは、戦闘モードに戻っていた。
アテスト小屋からさっそうと飛び出して、プレーオフホールの18番ティグランドで準 備万端。後から駆 けつけた近藤を迎え撃ち、その2ホール目にトドメをさした。
常にフラットな精神力。底抜けのプラス思考。ナイスショットにもミスショットに も、心乱されること なく、ひたすら目の前の1打に集中する姿勢は、2004年のツアープレーヤー?1にふ さわしい。
そんなホが、今年目標に掲げた「日本ツアーで年間3勝」を達成するのは、もう時間 の問題だろう。2週間後には、昨年初日2位(結果28位)発進した全英オープンも控え ている。
5月の日本プロに続く、今季メジャー2勝目となるこの『日本ゴルフツアー選手権宍戸 ヒルズカップ』は 5年シードのほか、8月に行われる世界ゴルフ選手権『NECインビテーショナル』の出 場権が与えられ る。賞金総額8億円のこのビッグトーナメントは、日本ツアーの賞金ランクにも加算 される。
「・・・ぜひ、狙ってみたい」。100%有言実行のホが、今季の目標に「日本ツアーの賞 金王」を加えた。