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片山晋呉は単独4位!!

世界ランク45位の資格で、欧州とアジア共催のバランタイン選手権に出場権があると分かったとき、片山は迷わずエントリーを決めた。
「大きなチャンス、逃す手はないでしょう?」。

だがそんな気持ちの一方で、「実際はどうなのかな、という気持ちもあった」と、打ち明ける。
会場は、目と鼻の先の韓国・済州島だ。
気候も、日本とほとんど変わりない。
芝はやっぱり冬枯れているのか? グリーンは、ラフは・・・?
マスターズに向けて、いま急ピッチで調整を続けている片山にとって、開催コースのピンクスゴルフクラブの状態が気になるところではあった。

「でも、ほんとうに来て良かったって思ってる」。
緑豊かなフェアウェイに、アンジュレーションに飛んだグリーン。しかも名物は、台風並みの強風という“おまけ”つきだ。
「レベルの高いプレーを要求される。とても素晴らしいフィールドだった。来年もぜひ出たい」とまで言わしめた大舞台で、いま自分ができる最高のパフォーマンスを披露した。

最終日はトーマス・ビヨーンと、ミッコ・イロネンと同じ組。長身のパワーヒッターに挟まれたがその程度のことで、片山がひるむわけもない。
「いま僕が一緒に回って“おぉ・・・”と思うのは(世界ランクで)トップ10人まで」。
こうして海外ツアーに出ても「回りがまったく気にならなくなった」。
そしてそう言えるようになったも、「昨シーズンあたりから」と片山はいう。

力の差を埋めるために、血のにじむような努力を続けてきた。ショットの精度を高め、小技のバリエーションを増やしてきた。
だから、たとえセカンドオナーでも彼らよりずっと近くに寄せられる。面白いように、チャンスを作れる。
ピンチも高度な技で切り抜けられる。14番パー3(217ヤード)は、ティショットが奥のラフ。ピンまで15ヤードの急な下りのアプローチ。
打った瞬間、居合わせたギャラリーから悲鳴が上がった。
「あぁっ、大きすぎるよ!」。
しかし、それはすぐに賞賛のため息に変わった。
まるで、小鳥が舞い降りたようだった。
思い切りフェースを開いて打ったボールは、高々と弧を描いて舞い上がったかと思うと、ピンの反対側にポトリ、と落ちた。
そこから、ピクリとも動かない。
それは、計算ずくの1メートルの上り傾斜のパーパット。
何食わぬ顔で、沈めてみせた。

そして、クライマックスこそしっかり締める。
最終18番パー4は490ヤードと距離があり、右サイドに池。手前にクリークが横たわる最難関ホールだ。
ギャラリーが鈴なりのこの日最大の見せ場で、ピン奥5メートルに難なくつけてバーディフィニッシュ。
通算15アンダーは単独4位に躍り出た。

賞金は日本円にしてなんと1500万円。
それにKJチョイや、パドレイグ・ハリントンらが顔を揃えた中での好成績に、世界ランクの上昇は間違いないだろう。

しかし、そんな余韻に浸る間もなく片山は、アテストテントに駆け込んだ。
ホールアウトは16時半。
済州空港発、成田行きのコリアンエアーは18時15分にテイクオフ。
次週は世界ゴルフ選手権「CAチャンピオンシップ」に出場する。会場は、フロリダ州のマイアミだ。
乗り遅れると、渡米の日程が大幅に狂う。
「絶対に乗るよ!」と、絶叫してタクシーに飛び乗った。

その次は、いよいよマスターズが待っている。
いま、一番の目標は「オーガスタで自己ベストを更新すること」。
一昨年の23位を上回る成績を残したい・・・。
窓越しに、早口でそう言って韓国を後にした。

片山が単独4位につけたバランタイン選手権のスコア速報はこちら

  • 長身のパワーヒッター、ビヨンとイロネン(左から)に挟まれてのプレーにも、びくともしない! 2人を凌駕するプレーで単独4位に!!

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