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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2009
金庚泰が単独首位に
「いつも平然とプレーしているように見える」と、あの丸山茂樹も呆れかえったのは、やはり最終日最終組で回った11月のレクサス選手権。
2006年の日本アマで連覇を果たすなど、アマチュア時代に勝ち取ったタイトルは数知れず。あまりの強さに、母国韓国では“鬼”と呼ばれた。
成人男子に課せられる兵役は、本来なら2年間だが金は今月17日から4週間だけという優遇も、アジア大会金メダルの実績が評価されてのことだ。
2007年のプロ転向直前に韓国のプロツアーで2勝。さらにデビュー年に3勝をあげてその年、母国で賞金王に輝いた。
普段は柔和な笑顔もひとたびコースに出れば、能面のようなポーカーフェイスも23歳にして、すでに百戦錬磨のたまものか。
「いえいえ、いつも凄く緊張しています」と本人は首を振る。
丸山が言うレクサス選手権も、「それで武藤さんに逆転負けをしたんだ」と。
同大会を含む今季2位3回は、賞金ランク13位(国内のみ)の資格で初めて出場権を手にしたこのツアー最終戦も、「今年のボーナスをもらった、と初日は何とも思っていなかったけれど、今日は別の緊張が出てきました」と一応は不安げに、「しかも2位にはジーブと武藤さん。強い選手が2人もいて」と震えてみせたが、胸の底に隠した自信は隠しきれない。
「試合中のプレッシャーは、今年より去年のほうがより強かった」と、このシード元年は精神面での成長も著しく、「明日は、相手を見ないで自分のことに集中したい。最後のトーナメントでぜひ勝ちたい」。
穏やかな視線の先に、日本ツアー初優勝をしっかりと見据えた。