記事
アコムインターナショナル 2002
「選手ならば、誰でも勝ちたいでしょう?」
上位でインタビューを受けるたび、張が繰り返す言葉がある。
「いま、日本で経験していること、すべてが勉強。焦らずゆっくりゆっくりね」
初めてクラブを握ったのも20歳と、遅かったが、「ゴルフに年齢は関係ない、ゆっくりやればいいじゃないですか」と笑った。
85年20歳の夏、故郷・中国の珠海(じゅはい)ゴルフ倶楽部の研修生となり、プロの道を目指した。
当時、中国ではゴルフをする人は少なく、張はほとんど独学で、スイングを覚えたという。
94年のアジア大会・個人の部で銀メダルに輝き、その翌年95年に、プロ転向。
アジア、ヨーロッパ、カナダ、豪州ツアーなど転々としたあと、昨年のファイナルQTランク1位の資格で、ついに今年、日本初上陸。ジャパンゴルフツアープレーヤーの中国人選手、第1号となった。
「僕はまだ、ここで戦いはじめて1年目。コースはもちろん、ツアーのシステムなども、あまり詳しくないんですよ」と話すとおり、実は、シード権獲得の目安も、張はよくわかっていなかったようだ。
現在、獲得賞金2200万円を超え、ランク31位で初シードは確定しているのだが、「まだまだ、頑張らないとダメと思って、やっていましたよ」と、照れ笑いを浮かべた。
常にマイペースを心がける張だが、最後に、日本ツアー初Vへの意欲を問われると、
「プロになったからには、優勝したいのは、誰にも同じでしょう?」とキッパリ。
いつものはにかんだ笑顔の張の顔が、このときばかりは厳しく引き締まった。