記事
Philip Morris Championship 1999
「たとえボギー20個してもいいから100個のバーディがほしい」杉原輝雄
たとえ、下位からのスタートでも、ドン・杉原のもとには、たくさんのギャラリーが集まる。地元関西のファンにとっては、杉原輝雄が元気にゴルフをする姿が見られるだけで、もう満足なのだ。
しかし、もちろん、本人はそれだけでは納得しない。
「ノーボギー? そんなん嬉しくない。65くらいでまわってノーボギーならいいけど。たとえボギー20個してもいいから100個のバーディがほしいもんね」と厳しい表情できっぱり。試合に出るからには、結果を出さなあかん、と言いたげだ。
「とにかく、出たからには“完走”しなくちゃいけないというのはあるし、きょうはスコアはま・・・いいかもしれませんが、内容がとても悪い。ほんとなら、5アンダーくらい出さないといけないでしょう。60台出せたからといって、嬉しくもなんともないんです」
今年62歳。しかも、一昨年前にガン(前立腺)の告知を受けている。
「いつまでも現役でいたい。手術はしない」と公言。薬の投与で発症を抑えながらツアー参戦を続けていたが、9月のサントリーオープン終了後は両腕の痛みと、目の異常を訴え、一時、ツアーを離れざるをえなかった。
今週は、その治療あけのレギュラーツアー復帰第1戦。
「予選を通るかどうかもわかれへんかったのやから、まあ、いいけどね。しかしもう疲れた、年でだめですわ」と最後はおどけてみせたが、この人の精神力には、いつも恐れ入るばかりだ。