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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2010
栄光まであと1日、金庚泰(キムキョンテ)は6位タイに
連日、パッティングに悩み続けてきた。前夜、ホテルにパターを持ち帰っての特訓にもあいかわらず甲斐もなく、消沈のまま3日目の朝を迎えた。
「何が悪いのか分からない・・・」。首をかしげながら、スタートは9時40分ギリギリまでパッティンググリーンでボールを転がした。
直前5分前。突如としてひらめく。
「今までは、ヘッドの動きばかりに意識が行きすぎて、グリップが緩くなっていたのではないか」。
1番で4メートルのバーディチャンスで確信した。
しっかりと握り直すと、ボールはスムーズに転がって、思ったとおりのラインを描いた。
ショットの好調も相まって、4番ではピンそばの50センチ。そして6番からの3連続バーディ。これまでのうっぷんを晴らすように、面白いようにカップに沈めた。
好スコアにも浮かれることなく、いつものように淡々とスコアを伸ばしてきた金の心が揺らいだのは、13番だった。
首位と2ストローク差まで迫っていることを知り今週、初めて欲を出した。
韓国人として初の賞金王へのカウントダウン。「正直、この最終戦で勝っててそうなれば、最高の形だとは思います。でもそれに対するプレッシャーは絶対にありません」。
それよりも心が動いたのは、今大会のタイトル獲りだ。
東京よみうりカントリークラブとの相性の良さはすでに昨年、実証済みだ。
プレーオフ4ホールの激闘は、丸山茂樹に「キョンテは本当にしつこい。そして本当に上手い」と言わしめ、一度は戦意喪失させたほど。
結局40歳の粘り勝ちに、2位に甘んじたが確かな手応えをつかんだ昨年だった。
「今回もチャンスがあるんじゃないか・・・。そう意識したらやっぱりボギーを打ちました」と、苦笑い。14番で90センチのチャンスを決められず、15番パー3はミスショット。「前のバーディを取り返そうと欲が出た」と、反省した。
同時に、改めて強く誓った。
「明日こそ自分のプレーに徹する」。その先に、栄光が待っている。