Tournament article

ゴルフ日本シリーズJTカップ 2010

藤田寛之は「何がそうさせるのか・・・」

初日は今季、ともにツアーを盛り上げたアラフォー2人が同組対決。谷口には「考えすぎ」と突っ込まれながらも、この最終戦でも藤田はいまだ上を見ることをやめない
最終組のひとつ前でのホールアウトから丸2時間。藤田がクラブハウスに帰って来ない。外は、とっぷり日が暮れた。暗闇の中から、弟弟子の宮本勝昌とともに、ようやく姿を現した。

「宮本にも、ちょっと見てくださいよ、と言われたし・・・」と、言い訳がましく、それでもいよいよこのツアー最終戦を迎えてなお、まだ理想のスイングを追い求めている自分には、ちょっぴり照れ笑いで「ほんとにこんな遅くまで、ねえ。いい加減、やめればいいのに・・・。何が自分をそうさせるのか」。

この日も、試行錯誤の中で、6番のイーグルを含む5アンダーは2位タイにつけながらも、「今日もほんとにヘタ」と、自分にダメ出しする藤田に、同組の谷口徹が言った。
「考えすぎやねん」。
我に返って、「ほんとうに。いつになったら納得するのか」と、自分自身に突っ込みを入れながらも、確かな思いがある。
「僕は、考えないと上手くなれない。いつまでも、納得しないから、いいのかもしれない」。
底なしの向上心に、突き動かされてここまで来た。

先週のカシオワールドオープンでついに脱落したが、序盤の賞金レースを引っ張ったのは、ほかでもない藤田だ。
40歳を越えてなお、第一線を走り続ける藤田への声援は、大きかった。
期待に応えて41歳の賞金王誕生、とはいかなかったが藤田の中で、今年の戦いはまだ終わっていない。

獲得賞金は自身初の1億円越えも励みに「今年せっかく稼いでいるので、どこまで行けるかやってみたい」と、自分との戦いはやめない。

現在、58位の世界ランクもまた、闘志を燃やす材料だ。
年末に、50位内に食い込めば、来年のマスターズの出場権が手に入る。
「いやあ、ハードルが高いしまだ漠然・・・とはしてますけれども」と、現実味はまだないが、「賞金ランキングによっては、来年もメジャー出場とかのチャンスがあるし、今はそこへの意識が強いです」と、今週も見果てぬ夢を胸に戦う。


関連記事